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2020年3月 3日 (火)
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2019年2月11日 (月)
「七つの会議」 サラリーマンは侍
<ネタバレありますのでご注意ください>
「半沢直樹」も「下町ロケット」も「陸王」も見ていません(珍しいですよね)。
なのでこれらの作品がどのようなトーンで作られているのか知りません。
割と演技が濃ゆい感じであったというのは聞いていますが。
本作「七つの会議」はそれらの作品と同じ著者である池井戸潤さん原作で、監督も池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄さんです。
なので他の池井戸ドラマと同じようなトーンなのでしょうか。
確かに本作の出演者の演技は濃い、というより暑苦しい。
かなり誇張した表現だと思いましたが、ストーリーが展開していく中で、ふとこれは現代的な衣装をまとった時代劇なのだ、と思い、合点がいきました。
エンドロールで八角が、日本のサラリーマンとは江戸時代の侍と同じだと語ります。
昔は侍は藩に仕え、そして藩は侍を守る。
現代は、藩が会社になっただけ。
なるほど日本のサラリーマンの体質にはそういうところはありますよね。
特に40代以上のサラリーマンには。
本作に登場する架空の大手家電メーカーのゼノックスの社長は御前と呼ばれています。
まさにこれは殿様のようなものです。
ある藩で不正が執り行われていて、それに関わった者、それを探った者は次々に亡き者とされる。
過去に藩と色々とあった昼行灯も事件に巻き込まれて、不正に気づく。
それを正そうと殿様に直訴したが、結局は握りつぶされてしまう。
しかし幕府も藩の不正に気づき・・・。
こうやって書いてみるとまさに本作のストーリーはそのまま時代劇としていけそうです。
逆に返せば、時代劇的なストーリーだからこそ、池井戸作品はこれほどまでに多くの人に支持されているのかもしれません。
日本人のDNAに組み込まれているような侍の精神構造が、作品の中にあるのでしょう。
池井戸作品は、不正などによって虐げられた人々が、最後の最後に逆転勝ちすることの爽快感が受けているのだと思います。
これは絶対的な権力で支配されていた人々が物語の中だけでも、胸が空く思いを持ちたいと思っていた時代に芸能がそういう思いをすくっていたことに通じるかもしれません。
池井戸作品が喝采をもって受け入れられるというのは、今の時代もそういう見えない権力によって人々が虐げられていると人々が感じているということなのでしょうか。
そうかもしれませんよね。
いくら不正があっても政治は変わらない。
大きな企業の不正が次々と明らかになっています。
何も変わらないという閉塞感、鬱屈した感じが現代社会にはあると思います。
だからこそ、池井戸作品が受け入れられる。
このような物語が古臭い、それこそ前時代的なったときこそが、よりよい時代になっているということなのかもしれないですね。
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