2022年8月10日 (水)

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー」濃いキャラクターたち、楽しめます

前作「機界戦隊ゼンカイジャー」がそれまでのスーパー戦隊シリーズの集大成といった趣でしたが、それを次ぐ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」はスーパー戦隊のフォーマットをことごとく破り、新しさを全面に出して、可能性を一気に広げている意欲作となっています。
シリーズ当初は見ていて戸惑いもありましたが、キャラクターの濃さ、予期せぬ展開に、次第に病みつきになってしまいました。
その劇場版が本作となります。
通常夏映画は「仮面ライダー」と同時上映で、「スーパー戦隊」は30分弱ぐらいの尺となっており、テレビとほぼ長さは変わりません。
ですので今までは、映画ならではの特別な敵などを登場させるとどうしてもテレビシリーズに比べると慌ただしく、内容としても薄くなりがちでした。
本作はプロデューサー曰く、特別な敵と戦うといった映画ならではの展開は「仮面ライダー」に任せ、前座として賑やかに、あくまで「ドンブラザース」らしさを全面に出すということを狙ったそうです。
それはうまくいっていて、テレビシリーズと同様のはちゃめちゃな展開で楽しく見れました。
「ドンブラザース」の魅力は濃いキャラクターたちと書きましたが、その中でも特別にいい味を出しているのが、メンバーの一人であるオニシスターに変身する鬼頭はるか。
演じるのは志田こはくさんですが、なにしろすごくいい。
ポジションとしてはヒロイン役ではあるのですが、体を張っているというか、若いのに変顔も出し惜しみなく、稀有なコメディエンヌぶりを発揮しています。
今回は映画の中で映画を撮るという劇中劇の体となっていますが、その中での役も通常よりも輪をかけて崩してきてます。
本作はドンモモタロウこと桃井タロウが主役で間違いありませんが、主役を食うほどの存在感は素晴らしい。
男の子向けの「スーパー戦隊」でここまで女性キャラクターが存在感を出しているのは初めてではないでしょうか。
小さい男の子はどう受け取っているのでしょう。
こういうお姉さんは好きそうですけれどね。
最近のスーパー戦隊は脚本がスマートな作品が多い印象があります。
見やすいのは間違い無いのですが、ちょっと物足りない時もあります。
本作を担当しているのは井上敏樹さんで、ベテランだからこその従来からジャンプしたストーリーで毎回意表をつかれます。
はちゃめちゃな展開も「スーパー戦隊」シリーズの面白さでもあるので、そのようなDNAも大事にしていってほしいです。
無茶苦茶やってもストーリーとしては破綻していないのが、さすが大御所な感じです。

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2022年7月16日 (土)

「エルヴィス」 境界線上に立つ

「ボヘミアン・ラプソディ」など最近アーティストを主人公とした作品がコンスタントに公開されています。
本作もその一つで、タイトルの通り伝説のロックスター、エルヴィス・プレスリーを主人公とした作品です。
これらの作品は割とストーリーの流れは似通っているところもあります。
才能のある若いアーティストが見出され、世間に衝撃を持って受け入れられて一気にスターダムにのしあがるものの、その後はさまざまなスキャンダル(金や薬やその他諸々)に見舞われ我を見失うが、彼はその困難の中で自分の本質をもう一度再発見するといった流れです。
やはり伝説となるスターは才能だけでなく、そのような波瀾万丈な人生があるからこそ伝説となるわけで、似通った展開となるのは致し方ないところなのかもしれません。
本作を見ていて、もう一つこのようなトップスターとなる人間にはもう一つの特徴があるようにも思いました。
エルヴィスは白人でありながらも幼い頃は貧しかったため、貧しい黒人との交流が多かったようです。
その中で彼は黒人の音楽性に触れ、それを我が身に取り込みました。
彼の音楽はカントリーと黒人音楽のミックスと言われていますが、白人と黒人の境界線に彼は立っており、それだからこそ異なる文化が化学反応を起こし新しい音楽を生み出すことができたのではないかと感じました。
この二つの世界の間に存在しているということが世間にインパクトを与えることができたアーティストの特徴なのではないかと思います。
「ボヘミアン・ラプソディ」で描かれたフレディ・マーキュリーはゲイであり、男と女の境界線上に立っていると言えるような気がします。
この境界線上にいるということは両方に属しているとも言えますが、両方に属していないとも言えます。
だからこそそこには葛藤があり、その人物は不安定さを持つことになると思います。
このような映画で描かれるアーティストは心理的に不安定であり、攻撃的にもなれば臆病にもなるのです。
大概このようなアーティストの不安定さにつけ込む人物が登場しますが、本作の場合はトム・ハンクス演じるパーカー大佐になります。
境界線上に立つことにより、他の人が持ち得ない新しい感性で新しいものを生み出すことはできるものの、その代償として誰にも理解されない孤独感、不安定さを持つのが、このような時代を作るアーティストの特徴なのかもしれません。
エルヴィスを演じたオースティン・バトラーは素晴らしかったです。
若き日から、晩年までを演じきり、見ている側としてはエルヴィスにしか見えませんでした。

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2022年5月 3日 (火)

「映画 クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」 先送りとの戦い

前回に引き続き、5歳の娘と行ってきました。
5歳と言えば、しんちゃんと年齢が一緒ですね。
自分の子供を見ていても思うのですが、子供っぽいおバカなこと(しんちゃんの真似をしてお尻プリプリ〜とかやったりする)もするかと思うと、時折妙にしっかりしたことを言ったりして驚かされます。
改めてしんちゃんのキャラクター設定って、5歳児の生態をうまく捉えているな、と思います。
「クレヨンしんちゃん」は私の子供の頃はまだ始まっていなかったので、子供と一緒に見始める前は見たことがありませんでした。
子供の親になって見てみると、親子の話などはグッとくるものが多いのですよね。
こちらの映画もそうでした。
子供と過ごす日々はかけがえがなくて、親が子供を奪われたならば何があろうと取り戻したい。
そんなひろしとみさえの気持ちに共感しまくりでした。
しんちゃんも家族と過ごす日を大切に思っていて、自分の娘もそう思ってくれていたら嬉しいなとも感じました。
あと、しんちゃんの映画はそのおふざけなトーンの裏に、まじめなテーマが織り込まれていることがあります。
本作で登場する忍者たちは「地球のおへそ」を代々守っています。
そのおへその栓が抜けてしまうと、たちまち地球のエネルギーが放出されてしまい、地球は滅びてしまうからです。
この忍者たちを統べるのが長老です。
彼は地球のおへそを守っているかと思いきや、純金からできている栓から得られる富で私腹を肥やし、地球の将来のことなど全く気にしていないのです。
この長老という人物は現在の社会における指導者たちの姿と重なります。
環境問題を含め、地球が課題を持っていることを知りながら目先の利権ばかりに目を奪われ、問題を未来の子供たちに先送りにしてしまっている。
そういう施政者のメタファーがこの長老なのです。
彼に対して、子供たち、そして彼らの親たちが戦いを挑むのが本作です。
子供にはずっと幸せに暮らしていってほしいと思うのが、親心。
その親心を施政者は忘れているのではないか。
相変わらず「クレヨンしんちゃん」は奥が深いと思った次第です。

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2022年3月26日 (土)

「映画おしりたんてい シリアーティ」単独公開なのでのびのびと

「映画おしりたんてい」前作は昨年夏に公開されましたが、一年経たずして新作の公開です。
今回、名探偵おしりたんていの相手となるのはシリアーティ教授。
まさにホームズVSモリアーティの構図です。
そしておしりたんていの最大の敵となるシリアーティの声を担当するのが、あの福山雅治!
名探偵ガリレオ=福山雅治が、探偵の好敵手となるとは粋なキャスティングです。
テレビシリーズの「おしりたんてい」は子供向けの謎解きものですが、前作の映画は謎解き要素よりも、子供に向けた「良いお話」という印象が強かったです。
見終わった後の読後感としては、「アンパンマン」や「しまじろう」を見た時の印象に近かったように思います。
しかし、本作はホームズVSモリアーティをモチーフにしているため、追うものと追われるものの対決といった要素が強くなり、ドラマ性が上がっているように感じました。
「良い子向け」に作られたいたような前作よりは、大人としては見ていて面白かったように思います。
元々「おしりたんてい」の映画は「東映まんがまつり」の1コンテンツとして始まっていて、前作も他のコンテンツとの同時上映でしたし、「良い子向け」にせざるを得なかったのかもしれません。
本作は単独の公開になりますので、「おしりたんてい」らしく物語を作ることができたのかもしれませんね。

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2022年3月19日 (土)

「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」今、自分にできること

昨年春、公開寸前でコロナの感染がひどくなり延期となってしまった「ドラえもん」の新作映画。
ですので、タイトルは「2022」ではなく「2021」となっています。
今年もまた公開直前にロシアによるウクライナ侵攻という世界的事件が起こり、物語と現実が妙にシンクロナイズしている感じもいたします。
子供時代に「ドラえもん」にハマり、映画も欠かさず見ていましたが、中学生になるくらいには当たり前のように卒業。
前回の作品から再び娘と一緒に観にいくようになりました。
前作である「のび太の新恐竜」も過去作のリメイクでしたが、本作も同様にリメイクです。
しかし、前作が公開されていた時は私はすでに卒業をしていたので、初めて見る物語となります。
「ドラえもん」という作品は子供向けではありますが、人にとってとても大事なことを伝えようとしているところがあります。
私も子供の頃に色々と学びました。
本作では戦争や独裁ということをどう考えるかということがテーマであるかと思います。
冒頭で書いたように今の世界情勢に妙にシンクロしてしまうところですが、独裁というものの危うさ、正しいことを正しいと言えなくなることの不自然さを子供たちにも感じ取ってもらいたいと思います。
それに対抗するために戦え、ということまでは言えません。
ただ本作で登場人物たちが何度か言っていたように「今、自分にできることをやる」という考えは大切だと思います。
現在世界で起こっていることに対し、もちろん義勇兵に参加せよ、などと言うつもりはないのですが、それでも自分ができることは何だろうと考えれるようになってほしい。
人道支援のための寄付をするでもいい。
正しくないことにちゃんとモノを申し、自分ができることをちゃんとやる、そういう小さいけど大切なことはしていってほしいと思いました。

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2022年3月18日 (金)

「オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-」 人間くささのある作戦

実際に第二次世界大戦中にイギリスがドイツに仕掛けた諜報作戦を元に映画化されました。
ヨーロッパを掌握していたドイツに対し、連合国側は反撃をすべくイタリアのシチリアへの上陸作戦を敢行しようとします。
しかし、ドイツからすればそれは予想の範囲内であり、迎撃部隊をイタリアに集結させようとしていました。
イギリスはドイツに誤った情報(上陸するのはシチリアではなくギリシャである)を伝え、上陸作戦の成功率を上げようとしました。
それがオペレーション・ミンスミートです。
具体的には(誤った)機密情報を持った将校の死体をドイツ軍に拾わせ、それを信じさせることにより、ドイツ軍部隊をギリシャに移動させようとするものでした。
テクノロジーの発達した現代の視点からすると、不確定要素が多い非常に危なっかしい作戦ではありますが、逆に人の要素が多くなり、ドラマとしての緊迫感が生まれていたように思います。
その将校は死後時間が経っていない死体を使い、その人物が実在する将校であるとドイツ軍に信じさせるためにさまざまな設定がされます。
彼が持つ持ち物などにもその背景となる設定が考えられました。
そこまで入念に設定しても死体が持っている書類はドイツ軍の手に渡るのか、そしてそれをドイツは信用するのか、など非常に不確定要素があります。
実際に劇中でも死体は(当時ドイツ側についていた)スペインに渡るものの、彼らはイギリス軍との間にもパイプがあり、絶妙なバランスをとっていたため、ドイツに渡らない可能性が出ました。
そこで現地にいるイギリスの情報将校らがあの手この手を使い、ドイツに情報を渡そうと苦戦するのです。
現代であればもっとテクノロジーを駆使した作戦になるとは思いますが、非常に人間が作戦を運営しているということが見えてくる人間臭いシークエンスで面白かったです。
本作には登場人物として「007」シリーズの原作者として知られるイアン・フレミングが登場します。
実際はフレミングはミンスミート作戦には関与していないようですが、情報作戦には関わっており、それがその後のスパイ小説を創作することにつながったことは有名ですね。
劇中に作戦をサポートする技術者が登場し、「Q」と呼ばれていたのは映画ファンには嬉しいところです。
死体の設定に登場する恋人のモデルとなった女性と、主人公とその同僚の三角関係的なものもドラマの縦軸としてありますが、個人的にはあまり惹かれるところはありませんでした。
人間臭い作戦執行のところにフォーカスしてもよかったかなとも思いましたが、他の方はどう思ったでしょうか。

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2022年3月12日 (土)

「ウエスト・サイド・ストーリー」今の時代に作られた意味

ミュージカルの金字塔「ウエスト・サイド物語」のスティーブン・スピルバーグによる二度目の映画化作品。
ミュージカル映画は好きですが、一度目の映画化作品は縁がなく今まで見たことがありませんでした。
そのためそちらとの違いについて語ることはできません。
本作はどちらかと言えばオリジナルのミュージカルに近いということらしいです。
劇中でかかるスコアはどれも耳に馴染みのあるものばかり。
どれだけオリジナルや1961年度版が浸透していたかが伺えます。
スピルバーグはミュージカル作品は初めてですが、非常に躍動感があるミュージカルシーンになっていたと思います。
私は1961年度版とは比較はできませんが、カメラワークなどがイキイキとしていて音楽やダンスと合わせて、若者の熱を感じさせてくれました。
スピルバーグはミュージカルは初めてですが、思えば「魔宮の伝説」のオープニングは音楽と合わせた演出などもしていて、昔からやってみたかったのかもしれませんね。
しかし、なぜ今「ウエスト・サイド・ストーリー」が60年を経て再び映画化されたのでしょうか。
みなさんもご存知だとは思いますが、そもそも原作のミュージカルがベースにしているのがシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」。
対立するそれぞれの家に所属する男女が惹かれ合い、しかし結果的にはその間は引き裂かれ、二人の死という悲劇を迎えてしまいます。
「ウエスト・サイド・ストーリー」では再開発が進むスラムの非行グループジェッツと新進のプエルトリコ系によるシャークスのそれぞれに属するトニーとマリアの恋愛悲劇です。
なぜ、今かという問いに対しては、現在の世界(特にアメリカ)は分断と対立というキーワードで表現できるからでしょう。
トランプ政権時に一気に顕在化した保守とリベラルの対立は今も尚、残っています。
相容れない主義が異なる集団同士の緊張感がある関係がしばらく続くとほんのちょっとした出来事から一気に暴力的な対立にまで発展してしまう。
偶発的な事故から始まった憎しみは連鎖しながら増大していく。
なんでこんなことに、と後で皆が思うかもしれないが、その渦中にいるとその流れは誰も止められない。
集団の力学では、その憎しみの連鎖は如何ともし難いのですが、それを超える唯一の方法は個人レベルの愛であり信念。
分断と対立が激しくなっているからこそ、愛や信念が必要であるというメッセージなのかもしれません。
スピルバーグはユダヤ系であり、今までも差別や分断ということをテーマにしてきた作品を作ってきました。
「シンドラーのリスト」も個人の信念で分断と対立を一部なりとも影響を与えることができたことを描いた物語とも言えると思います。
本作を見た後に、ロシアがウクライナへ侵攻、アメリカだけでなく世界全体に分断と対立が広がっているようにも思います。
ロシアとウクライナは同じ民族であり、この侵攻がどんな結末になるにせよ、二つの国の国民の間には分断と対立が残されるような気がします。
60年を経て作り直された本作の意味を考えてもいいかもしれません。

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2022年3月11日 (金)

「アンチャーテッド」見るアクションゲーム

原作はプレイステーションのアクションゲームとのこと。
ジャンル的には「インディ・ジョーンズ」や「トゥーム・レイダー」のようなトレジャーハンターものですね。
主人公ネイサンを演じるのは「スパイダーマン」のトム・ホランド。
1月にも「スパイダーマン」の新作が公開されましたし、売れっ子となってきました。
「スパイダーマン」ではアクションシーンはコスチュームだったのでほとんどスタントマンが演じているとは思います。対して本作は素面ですので、多くの場面をトムが演じていますが、意外にも結構アクション上手。
元々ダンスをやっていたということですので、体の使い方がうまいのかもしれないですね。
この手の映画はまずアクションが楽しめるかどうかですが、予告でもやっていた冒頭の貨物飛行機でのシークエンスやバルセロナのダンジョン、最終盤の空中戦などは見応えありました。
もちろんCGはたっぷり使っているとは思いますが、非常に立体的な(ある意味ゲーム的な)アクションは、今風だなと感じました。
「インディ・ジョーンズ」の頃とは隔世の感があります。
ストーリー展開もテンポ良く飽きさせないです。
アントニオ・バンデラスがラスボスかと思ったら、中盤にあっさり殺られていてちょっとびっくり。
その代わり敵のトレジャーハンターが女性でありながら、極悪で存在感ありました。
彼女はまた出てくるかもしれないですね。
最近はプラベートタイムがほぼ取れず、時間を食うゲームはなかなかできない状態ですが、本作はまさに「見るアクションゲーム」という感じがしました。
アクションとストーリーのテンポの良さはまさにゲームをやっているかのよう。
ラストの場面からは次回作作る気満々な感じがしますね。
原作ゲームも多くのタイトルが出ているシリーズのようですし。
トム・ホランドとソニー映画のタッグの「スパイダーマン」に続く人気シリーズとして定着していくでしょうか?

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2021年12月 5日 (日)

「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」バディムービーとして正統進化

大ヒットした「ヴェノム」の続編となる作品でアンディ・サーキスが監督しています。
ヴェノムは元々はコミックでスパイダーマンの敵役として登場しましたが、「ヴェノム」では映画の「スパイダーマン」とは全くリンクがない形で登場した独立した作品でした(過去形)。
サム・ライミの「スパイダーマン3」ではヴィランでしたが、スパイダーマンの暗黒面を持っているような複雑な存在でありました。
そのイメージもあり初回登場時もダークヒーローのイメージで鑑賞しましたが、このヴェノムは思いのほかユーモアもあり、人間味のあるキャラクターとなっていました。
そういう点では個人的には期待とは違っていたのですが、主人公エディとヴェノムの掛け合いはいわゆるバディムービーのような軽妙さがあり、その点が多くの人に受け入れられjヒットしたのではないかと思います。
最近のヒーロームービーは長尺化が進んでいますが、2時間以下と見やすい尺であったのも要因の一つですね。
続編である本作はその様な前作のヒット要因を踏まえて作られているように思いました。
2作目ということでエディとヴェノムの掛け合いも磨きがかかっています。
こういうバディムービーは正反対の性向の二人が組み合わさるほどに面白くなりますが、ヴェノムの粗暴ながらも愛嬌があるキャラクターの魅力が増していている点がよかったですね。
主人公のエディより存在感があるかもしれません。
映画の尺は前作よりもさらに短く1時間半強くらい。
そのためサクサク展開進みますし、複雑さもありません。
最近の複雑な映画に慣れている身としては、ちょっと物足りなさを感じるところもなくはないのですが、あまりこの手の映画を見ない方には受け入れやすいかもしれません。
個人的には敵役二人はもう少し踏み込んで描写してくれた方がより魅力も増したかなと思いました。
いい俳優を当てているのでちょっともったいないですね。
ラストのバトルは大きな音に弱いというシンビオートたち特徴を踏まえたもので、目まぐるしく変身と解除が変わっていく状況で目新しかったです。
<ここからネタバレあり>
この映画で何が一番びっくりしたって、エンドロール中のマーベル映画では恒例のおまけ映像です。
ここで今まで独立している物語であった「ヴェノム」がMCUの「スパイダーマン」にリンクする可能性が示唆されました。
1月に公開される「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」ではマルチバースが本格的に物語に組み込まれ、サム・ライミ版やマーク・ウェブ版の敵キャラ(グリーンゴブリンや、ドクター・オクトパス、エレクトロなど)が登場することがわかっています。
ヴェノムは冒頭に書いたように「スパイダーマン3」に登場はしていますが、本作のヴェノムとは設定が違います。
「ヴェノム」にはスパイダーマンが存在しているような描写はありませんでした。
しかし、本作ではおそらくドクター・ストレンジの秘術によりマルチバースが交差し、本作のヴェノムがMCUの「スパイダーマン」の世界に来てしまったらしい状況になっている様です。
「ノー・ウェイ・ホーム」で実際にヴェノムが登場するかどうかはわかりませんが、いずれどこかで接点が設けられるようになるのでしょう。
MCUでは叶わなくとも、ソニーが進めようとしている「スパイダーバース」の中では十分ありそうです。

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2021年11月26日 (金)

「アイス・ロード」 兄と弟

タイトルにあるアイス・ロードとはカナダで冬の期間のみ利用できる湖上に張った氷の上に作られた道のこと。
この上を大きなトラックが物資を運んで行き交うらしい。
日本に暮らしている身としては、氷の上をトラックで走るなんていうことはかなりおっかない感じがしますが、冬季の間、政府によって管理されているこの道は安全ということです。
極地にほど近い鉱山である日落盤が発生し、何人かが閉じ込められてしまいます。
彼らを救うにはガスを抜くための掘削機を高山まで運ばなければなりませんが、その機械は非常に重量がありヘリなどでは運べません。
唯一の方法は大型トラックでアイス・ロードを走って送り届けること。
しかし時期は春に差し掛かろうとする時期で氷が薄くなってきており、政府はすでにアイス・ロードを閉鎖しています。
さらにはその運搬を妨害しようとする者たちもいて・・・。
70歳も近いというのにアクション映画に次々と出演しているリーアム・ニーソン主演の作品です。
最近の彼のアクション映画は割と大味なものが多く、本作もご多分に漏れません。
大体ストーリーの展開も予想できますし、VFXもややチープな感じも否めませんでした。
とは言いながらも全く楽しめないわけではないので、気軽にアクション映画を楽しみたいのであれば問題ありません。
最近長尺の作品が多い中では、上映時間もコンパクトなので見やすいかと思います。
本作の中で良かったのはリーアム演じる主人公マイクとその弟であるガーティの関係でした。
マイクはドライバーとして、ガーティは整備士としてコンビで運送会社に雇われいます。
しかしガーティ絡みで彼らはしばしば問題をお越し、何度も転職を繰り返しています。
というのもガーティはイラク戦争に出兵し、そのためPTSDを患い、失語症になっており、そのため仕事仲間から馬鹿にされたりすることがあったからでした。
ガーティはPTSDのためちょっとしたことにびくついたりしますが、整備士としての腕は一級品であり、その能力は高いものです。
しかし、病気のために周りの人から軽んじられていたのです。
マイクはそんなガーティを庇い、支えて生きてきました。
ガーティを馬鹿にする者たちへ彼は鉄拳をふるいます。
彼自身は自分は弟のことを完璧に信じていて、支えているという自負があったのだと思います。
しかし、内心では思うようにいかない弟に対し、苛立ちも感じていました。
様々な妨害を受けながらアイス・ロードを爆走する彼らがトラブルを受けスタックしてしまった時、マイクはガーティへの苛立ちを爆発させます。
ガーティがどうしてもマイクの言うことを聞かなかったからでした。
しかし、実際はガーティはウインチが寒さで脆くなっていることに気づいており、無理をすることに危険を感じていたからマイクを止めていたのでした。
それに気づかずマイクが強硬したため、ガーティは瀕死の状態になります。
マイクは考えるより先に拳がでる直情型です。
決断力・行動力はありますが、我を忘れることもあります。
対してガーティは冷静に状況を見る目を持っています。
マイクは常に世話をしているため、いつしか弟を手がかかる者という目で見てしまう様になってしまったのかもしれません。
本来は肉親であるからこそ、弟が持つ本質的な力をきちんと認めてあげなければならなかったのだと思います。
とはいえ、日常的に世話をすることによるストレスでは、なかなかそのようには見れなくなることも事実だと思います。
色々介護の現場でも問題となることもありますが、このような身近な者の間の軋轢みたいなことが描かれるとは意外でした。
マイクが弟が瀕死となった時に、嗚咽するのは、自分の中にある暗部に気づいたからだと思います。
その後息を吹き返したガーティとマイクが力を合わせて、危機を乗り越えていく姿はカタルシスがありますね。
それだからこそ最後はちょっと残念でしたが・・・。
アクション映画としてはそこそこでしたが、個人的には二人の兄弟の関係性にはドラマを感じて見ることができました。

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