「AIR/エア」ブランドが生まれる時
1980年代初期NIKEはランニングシューズは名が通ってきていたものの、現在のような大ブランドとしては確立していませんでした。
確かに私も最初にNIKEというブランドを見た時、ナイキと読むとは思わず「ニケ?なのかな」と思ってました。
(これはあながち間違いではなく、我々が親しんでいる「ニケ」とはギリシアの女神の名前で、ナイキの社名の由来もこの神の名からです。英語読みではナイキと読むのです)
バスケットボールシューズのマーケットでも当時はコンバース、アディダスに続く、3番手でした。
そのブランドが一気に世界ブランドになっていくきっかけとなるのが、「エア・ジョーダン」です。
本作ではこの靴が生まれる時の物語が語られます。
「ブランド」とは何か?
数多くのマーケティングの本で語られています。
初心者が勘違いしやすいネーミングとブランドの違いとはなんでしょうか。
ネーミングは文字通り名前です。
名前は付けただけでは価値が宿っていません。
まだ「ネームバリュー」はないわけです。
ネーミングに価値、そして物語がついてくるとブランドになります。
その価値とは何か。
その価値とは消費者がその商品そのものと購入したことから得られる経験から感じる便益です。
そしてそれが得られるという確信が持てそうな物語があることでブランドになっていきます。
この物語をブランドに持たせることがなかなかに難しい。
長年生き残ってきているブランドには、その歴史から醸し出される物語があります。
しかし、新しいブランドにはその歴史がない。
そのため物語を外から導入する必要があります。
「エア・ジョーダン」における物語とはまさにマイケル・ジョーダンそのものです。
彼の才能、生き様が全て物語になり、「エア・ジョーダン」というブランドを形作っていきます。
契約の過程において、マイケルの母親デロリスは売上の一部を報酬として要求します。
これは当時としては破格の要求ではありましたが、マイケル・ジョーダンの人生そのものを物語として提供するわけですから、相応であったのかもしれません。
それほどまでにブランドにとって物語は必要なのです。
物語があると、それに魅せられ、信じる消費者が出てきます。
ロイヤリティ・ユーザーですね。
「エア・ジョーダン」でも自分では全部履かないのにコレクションをする人というのもたくさんいます。
「アップル」などもこのような物語をうまく使う会社です。
本作は新しいブランドが生まれ、新しいマーケティングのスタイルが生まれた時を描いた作品です。
マーケティングに興味がある人が見ても面白いかもしれないですね。
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