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2025年12月14日 (日)

「ロマンティック・キラー」計算なし、駆け引きなし

主人公、星野杏子(上白石萌歌)は好きなものはゲーム・チョコ・猫で、恋愛には一切興味なし。
学校が終わると一目散に家に帰り、ゲーム三昧の日々。
それで本人は大満足なのだ。
しかし、そこに魔法界から魔法使いリリがやってくる。
彼(彼女?)曰く、魔法界は人間の愛をエネルギーとしているらしい。
しかし、あまりに恋愛をキャンセルしている杏子のおかげで、魔法界は愛のエネルギーが得られず破滅の危機を迎えている。
なんとしても杏子に恋愛をさせるべく、リリによるロマンティック・トラップが始まる。
本作はラブコメディーだが、ヒロインが恋愛に全く興味がないというのが
ユニークなところだ。
そんな杏子をキュンとさせるべく、リリによってあの手この手で恋愛トラップが仕掛けられるのだが、どこかで見たことのあるようなシチュエーションが繰り広げられる。
美男子と偶然ぶつかって・・・という定番から始まり、バスは暴走するわ、パラシュートで不時着するわ、タイムリープする男子は登場するわ、と古今東西の恋愛トラップの目白押しである。
元ネタを思い浮かべながら、思わず笑ってしまった。
杏子が押し寄せるイケメン軍団と一騎討ちする長いシーンは「HiGH&LOW」を彷彿とさせ、上白石萌歌のアクションは一見の価値ありだ。
登場するイケメンたちの中でもキーとなるのは三人の男子だ。
何か影のあるクールな美青年。
一途に杏子を思う純朴な幼馴染。
世間知らずの俺様な王子様男子。
いずれも恋愛コミックやラノベに登場しそうな定番なキャラクター像だ。
彼らはそれぞれ杏子に惹かれ、次第に距離を詰めていく。
さて、そんな男子たちに好かれる杏子という女子はどういう子か。
ゲーム・チョコ・猫好きで、恋愛には一切興味なし。
こう聞くといわゆるコミュ障的で陰キャな女の子なのかと思いきや、杏子はそんなことはない。
クラスの中心というわけではないが、割とみんなとうまくやっている様子だ。
皆の憧れのイケメンたちと距離が近くとも、なぜか女子たちにハブにされることはない。
意外とコミュ力は高いのかもしれない。
リリのトラップにハマらないようにしているのも、決して人が嫌い、とか恋愛が嫌いというわけでもないように見える。
どちらかというと自分が好きなもの(ゲーム・チョコ・猫)を否定されていることに憤慨しているように思える。
つまり彼女は自分の気持ちにとても素直な女の子なのだと思う。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。
ある意味、潔い。
三人に対しても、杏子は自分の気持ちのままに言葉を発する。
恋愛にありがちな計算とか、駆け引きといったようなことを彼女は考えない。
相手をあるがままに見て、自分が思ったことをそのまま口にする。
リリができることは、時空を歪めて、杏子の周囲に彼女が好きなりそうな男の子を配置することだけだ。
彼らの気持ちを直接操ることはできない。
すなわち、彼らは本当に杏子のことを好きになる。
杏子はあるがままに自分を見てくれて、素直に気持ちを伝えてくれる。
その気持ちはまっすぐに彼らの心に届く。
杏子が最後に三人のうち誰を選ぶのか、着地点をどうするかは、見ていても一番に気になっていたところだった。
結論としてはかなり力技ではあったが、うまく着地させていたのではないかと思う。
杏子の選択も、自分の気持ちに素直である彼女らしいものと言えるだろう。
どんな選択をしたのかは、劇場で確かめてもらいたい。

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