「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング 」肉体を感じるアクションへのこだわり
「ミッション:インポッシブル」シリーズの最終作である「ファイナル・レコニング」、ようやく見てきました。
最終作と言われるだけあって過去作からのリンクもいくつか見られますので、ずっとシリーズのファンだった方には楽しめるところが各所ありますね。
しかし、この作品の見どころといえば、やはりイーサン・ハントことトム・クルーズのアクションでしょう。
このシリーズがまさにトム・クルーズのアクションを見る映画ではありますが、本作はその集大成とも呼んでもいいと思います。
中でも特筆すべきアクションは中盤の潜水艦の中のシークエンスと、後半のレシプロ機での空中戦です。
いずれも「ミッション:インポッシブル」らしいタイムリミットありのシークエンスとなっていますが、それぞれ違った趣があります。
潜水艦内でのアクションは派手な動きがあるわけではないですが、時間だけでなく、空間的な制約を受けながら、ミッションを果たすというシチュエーションです。
そもそも深海での作業という不自由な作業であり、空気が切れてはいけないという制約を受けています。
さらには潜水艦がバランスを崩し海溝に転がり落ちそうになり、そのため船内では魚雷がハッチを塞ぎ、退路が断たれてしまう。
生き延びるための選択肢が次々となくなっていく中で、イーサン・ハントは脱出方法を見つけられるのか。
まさに息苦しくなるような圧迫感の中、静かなアクションが進みます。
後半の見せどころとなるのが、レシプロ機でのアクションです。
予告で見ていた時は、レシプロ機ということで「トップガン」などを見た後ではスピード感などがないのではないかと思っていて、物足りないものになっているのではないかと懸念していました。
しかし、そんなことは全くありませんでした。
逆にレシプロ機というのは人が機上でさまざまなアクションができるギリギリの速さの飛行機なのかもしれません(ジェット機では速すぎる)。
人間が生身で対応できる極限の速さの中で繰り広げられるアクロバティックなアクション。
極限というのは「ミッション:インポッシブル」の一つのテーマかもしれません。
どこまで実際に飛行機でアクションをしているのかはわからないのですが、本作のこのシークエンスは人の肉体感を感じるものになっていました。 風圧を、重力を、感じる。
このシークエンスが始まる時にトム・クルーズの顔が風圧でブルブルするようなシーンがあります。
いくらジェット機よりは遅いとはいえ、レシプロ機も飛行機です。
その風圧も含め、肉体を感じられるアクションになっているため、このシークエンスのアクションは見ている我々も、肉体感を感じられるものになっているのです。
最近のアクションはCGで見たことのないものを見せてくれますが、その反面肉体感は感じにくくなっています。
アニメーション的でもあります。
そのような最近の傾向に対するアンチテーゼかのように、本作のこのシーンは、リアルな身体感があり、だからこそ余計に怖い。
「ミッション:インポッシブル」シリーズはCGアクション隆盛のこの時代の中で、肉体的なアクションにこだわり抜いた作品として光っているように思えます。
人を呼べる最後のスターとも言われるトム・クルーズのこだわりが現れているように思います。
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