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2025年5月 3日 (土)

「#真相をお話しします」”今”のテーマに切り込む

現代のネット、特にSNSの暗部に鋭く切り込んだテーマで想像していたよりも見応えがありました。
もちろん、トリッキーな展開自体もよく練られていて、先行きが全く予想ができませんでしたが、やはり本作はテーマ性だと思います。
<ここから先はネタバレしないで書く自信がないので、注意です。>
うちの子供が好きで、赤ちゃんの成長記録っぽい配信をしている動画も一緒に見たりしたりしますl。
ただ、この子が成長した時、この動画のことをどう思うのかなという思いがよぎる時もあります。
親からすれば可愛い我が子をみんなに見てもらいたい、という気持ちかもしれないですが、子供のプライバシーの権利からするとどうなのかなとも思います。
また、生臭い話で言うと配信でお金も入るわけで、そのためにという気持ちが出てくるのも否めません。
以前、親子youtuberの親が子供が車内に閉じ込められてしまった様子を配信してしまい、炎上してしまったという事件もありました。
本作の中で報道されない事実を暴露することにより、投げ銭を得るという企画が展開されます。
この行為は、言論の自由、真実の探究、知る権利などといった基本的人権に則っているとも言えます。
ただ、これは他人のプライバシーを容赦無く晒している行為でもあり、その点では基本的人権を侵しているとも言えます。
つまり、非常にデリケートな領域なのです。
マスコミなど既存メディアは時として”マスゴミ”などと揶揄されるところはあるものの、これらについては一定のルールを定めながら、報道をしています。
そして何かルールを違反したり、権利侵害があった場合は、会社として責任を追及されるわけです。
しかし、ネットにおいては、個人においては上記のような法律的意識が少ない場合が多いですし、そもそも匿名のためペナルティを課せられる可能性が低い。
安全圏から好き勝手を言っていいという、非常に不均衡な関係性になっているのです。
基本的人権はすべての人々に認められているものですが、それぞれの権利は時にぶつかり合うこともあります。
そこは非常に判断が難しいところであるわけで慎重に考えなくてはいけません。
皆がそのようなリテラシーがあればいいのですが、ほとんどの人々はそのようなことを考えることはなく、安易にネット上で行動します。
そこに切り込んだという点で本作は非常にタイムリーな作品であると感じました。
本作のラストはいわゆるオープンエンドで、作品として結末で答えを出していません。
皆が、それぞれ考えてください、ということですね。
上記に書いた通り、多くの人はリテラシーがなく、考えてもらいたいという制作者側のメッセージはわからなくもありません。
ただ作品として純粋に見ると、投げっぱなしであるという感はありました。
繰り返しますが、本作は非常にセンシティブな問題をテーマにしています。
答えは一つではなく、何か正解なのかわからない、わけですが、だからこそ作品としては答えを出すべきだとは思いました。
その答えに対して色々な意見は出るでしょう。
だからこそ、人々が考えるきっかけにはなるような気がします。
オープンエンドは逃げている印象を残してしまいました。

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