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2025年3月 2日 (日)

「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」他力と自力

スティーブ・ロジャースからキャプテン・アメリカの称号を受け継いだサム・ウィルソンの活躍を描きます。
MCUにはさまざまなスーパーヒーローがいますが、その中でもキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースは最も人々が理想として描くヒーローを体現していると思います。
超人血清により得た屈強な肉体と、持って生まれた強い正義感を持ち、何事があってもぶれない信念を持つ男。
人々をまとめ上げ、悪に対して対抗していくリーダーがスティーブです。
対して、それを受け継いだサム・ウィルソンはスティーブと負けない正義感を持ちながらも、ただの鍛え上げられた人間です。
サムはスティーブから盾を受け取った時から、その重責に苦悩します。
自分はこの盾にふさわしい男であるか、と。
サムは戦争に直面した世界において、世界大戦を避けようと懸命に戦います。
しかし、すべての人間を救うことはできません。
そしてサムの相棒を務めた二代目ファルコンことホアキンを救いきれず、彼は重傷を負ってしまいます。
サムは自分の未熟さを悔い、そして超人血清を打たなかったことを激しく後悔します。
その時ある男がサムに声をかけます。
そして彼は言いました。
「スティーブは希望であったが、サムは目標になれる」
この言葉は二人のキャプテン・アメリカを的確に言い当てていると思います。
これは二人のキャプテン・アメリカを身近で見てきたあの男でなければ、発せられません。 スティーブは希望であった。
人類が困難な局面にあった時、スティーブはその状況を覆してくれるかもしれないという希望を人々に与えてくれました。 彼の決して曲がることのない信念、そしてそれを信じさせてくれるカリスマが人々に希望を与えたのです。
人々は思いました。
キャプテン・アメリカが救ってくれる、と。
それはまさにスーパーヒーローそのものです。
人々は彼を頼りにしました。
それを希望と言いますが、人々が自分の力で成すものではありません。
神様や仏様に祈るのと同義とも言えます。
サムが苦悩するのは、そのような役割をただの人間である自分には担えないということでしょう。
しかし、サムは目標にはなれる。
サムは悩みながらも自分を信じ、そして限界まで自分を鍛え上げました。
人々を救いたいという思いで。
サムという存在は、どんな人でも自らが願い、努力をすればなりたい自分になれるということを示してくれます。
そういった意味で、サムは目標になれるのです。
スティーブに希望を見出すのは言うなれば他力本願で、サムの存在は自分の力で状況を打開できるという自力の象徴です。
これは大きな違いです。
ヒーローとして、リーダーとしてスティーブとサムは違う個性を持っています。
本作ではやがてアベンジャーズが再編成されることが示唆されます。
その時、サムはキャプテン・アメリカとして中核のメンバーとなることでしょう。
その時作られるアベンジャーズは、スティーブの時とは違うものになると思います。
自分を信じ努力するサムを目標とするような若いメンバーが集まってくるのではないでしょうか。
彼らを生かし、育てていくサムが目に浮かぶようです。
そんな新しいキャプテン・アメリカに期待したいですね。

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