「ウィキッド ふたりの魔女」負けた者たちの物語
予告を見た娘が見たいということで、一緒に行ってきました。
尺は2時間40分程度とかなりの長尺で、最後まで娘が耐えられるかなと心配ではありましたが、しっかり楽しんだようです。
始まって驚いたのは「Part1」と入っていたタイトル。
2部構成であるんですね!
物語の幕が上がるとオズの国の風景が描写されます。
広大な土地の間に走る道にはドロシーらしき一行の姿が見えます。
いずれドロシーたちも出てくるのでしょうか。
「オズの魔法使い」には良い魔女と悪い魔女が出てきますが、本作はこの二人が主人公となります。
彼女たちは若かりし頃、同じ魔法学校で学ぶ同窓生でした。
のちに西の魔女と呼ばれるようになるエルファバは生まれながらにして肌が緑色で強い魔力を持っており、父親から厭まれていました。
彼女は自分のために家族が不幸になったと思い、一歩引くように生きてきました。
かたや良い魔女と呼ばれることになるグリンダは良い家に育ち、自信に満ち溢れた女性です。
すぐに仲間を作り、彼らの中心になるようになるような人物。
つまりエルファバとグリンダは正反対の女性であったのですね。
当然彼女たちは最初は反目します。
エルファバの力を見出した学部長マダム・モリブルは彼女に特別授業を施します。
モリブルに憧れるグリンダとしては面白いはずもありません。
グリンダは華やかな女性ではありますが、ちょっとした意地悪さもあり、完璧な良い人物ではありません。
「オズの魔法使い」では良い魔女、悪い魔女とレッテルを貼られている二人ですが、若かりし頃はそのようなレッテルとは異なっていたというところが興味深いですね。
その頃、オズの国では人間以外の生き物たちが排斥されようとしていました。
オズの魔法使いがより王国の支配を強固にしようとするためです。
エルファバは彼女自身の経験もあり、動物たちに共感し、それを実行しようとする人々に反発します。
やがてエルファバはオズの魔法使いに呼ばれ、首都にグリンダと共に向かいますが、そこで彼の本当の目的を知ります。
彼はそもそも魔法の力は持っておらず、そのため強力なエルファバの力を使って、動物たちを抑圧しようとしてい他のです。
エルファバは彼の本当の意図を知り、反発をします。
モリブルはそんな彼女を反逆者、邪悪な魔女とし、王国の敵とします。
これが「悪い魔女」の誕生の瞬間です。
エルファバは王国がまとまるための共通の敵として、「悪い魔女」にされてしまった。
本来は動物たちを解放しようとした英雄であったのに。
エルファバ=悪い魔女はいずれ滅ぼされます(本作のオープニングでもその描写があります)。
勝者が歴史を作ると言います。
歴史は勝者に都合の良いように語られる。
「オズの魔法使い」は勝者によって語れれた歴史なのかもしれません。
本作は負けた者たち、の視点で描かれる物語なのでしょう。
「邪悪な魔女」と呼ばれたエルファバは何を思い、その役割を果たしたのか。
その時グリンダはどのような気持ちであったのか、それがPart2で描かれるのでしょう。
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