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2025年3月15日 (土)

「仮面ライダーガッチャード GRADUATIONS」スパナの成長

こちら「仮面ライダーガッチャード」のVシネですが、劇場で公開されていたので見に行ってきました。
私は年季が入った「仮面ライダー」ファンで、大概のシリーズは好きなのですが、「仮面ライダーガッチャード」は最後まで気持ちが入らなかったですね。
その原因はいろいろ考えられますが、主人公の一之瀬宝太郎へあまり感情移入しにくかったからだと思います。
彼はケミー全員と仲良くなり、大錬金術師になるというのが夢で、これが戦う動機なのですが、これにあまり共感ができなかった感じがします。
「仮面ライダー」というシリーズは何かしら主人公が葛藤を抱えていて、それが感情移入を誘うわけですが、宝太郎は素直でいい子すぎるような気がしています。
彼のようなキャラクターは「スーパー戦隊」シリーズだとマッチしていたのかもしれないですね。
そういった宝太郎に対して、劇中で様々な葛藤をうちに占めていたのが、黒鋼スパナでした。
超A級の錬金術師でありながら宝太郎に負けてプライドを傷つけられ、また内に秘めた復讐心に翻弄される。
人に対して壁を作りながらも、人との愛情を求める。
まさに葛藤を抱えた人物です。
このVシネは宝太郎ではなく、スパナが主人公です。
宝太郎やりんねの卒業式の日、スパナだけがタイムリープに巻き込まれます。
同じ日を繰り返していく中で、スパナは自分の中に隠されていた想いに気がついていきます。
本作はスパナが抱える矛盾を描きます。
彼は完璧のようでありながら、完璧ではありません。
人との間に壁を自ら作るのは、愛する人を失いたくないから。
以前は両親を失い、そして兄からも距離を取られました(和解しますが)。
彼が唯一心を許していたのは、師匠の鏡花であり、そしてグリオンたちとの戦いの中で、宝太郎らと絆を不器用ながらも築いてきました。
そして彼らが卒業の日、彼らはそれぞれの道を進み、スパナは彼らと別れなければなりません。
そしてまた鏡花も彼の恩師であるミナトと結婚します。
彼は再び、愛する人たちを失おうとしていたのです。
スパナは愛する人を思いながらも、それを失う悲しみとの間で葛藤していたのです。
スパナの葛藤は本作で、とても丁寧に描かれていて、共感ができました。
テレビシリーズではあまり琴線に触れることがなかった「ガッチャード」ですが、本作は初めていいなと思えました。
最後にスパナが皆にさりげなく「ありがとう」と言うシーンは良かったです。
彼が成長したことを感じさせる一言でした。

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