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2025年1月13日 (月)

「劇映画 孤独のグルメ」腹が減った・・・

腹が減った・・・。
みなさんご存知の通り、「孤独のグルメ」は昨今の料理ドラマのブームの先駆けとなったドラマシリーズです。
放送されているのは深夜枠なので、このドラマはまさに「飯テロ」。
紹介されるのが気取った店でないところも個人的には大好きなところです。
その「孤独のグルメ」が映画になるというのを聞いたのはいつだったでしょうか。
聞いた時に楽しみになりつつも、いくつか不安を感じたところもありました。
一つはこのドラマを長時間の尺で構築できるのだろうかという点でした。
テレビドラマは30分という尺で、そのうちほとんどは井之頭五郎が食べているシーン。
ドラマと言いつつ、他のキャラクターとの絡みはほぼありません。
そこがいいところであるのですが、映画でそれをやるのはなかなか難しい。
ストーリーを展開するには、ドラマを展開するキャラクターが必要です。
普通のドラマであれば、主人公がその役を担うのですが、それをやると「孤独のグルメ」らしさがなくなる恐れがあります。
「孤独のグルメ」は長尺のスペシャル版もありますが、基本的には30分でやっていることを、場所を変えて展開している体になっています。
一度だけ、五郎さんの昔の恋の話が縦軸になっていたエピソードもあった気もしますが(本作で杏さんが演じているのは、かつての恋人の娘)。
本作ではストーリーをゲストキャラクターである志穂と謎の店主に負わせています。
スープを探す旅が本作での五郎の行動のきっかけになりますが、この二人のラブストーリーがストーリー上の縦軸になりますね。
思えばこの構成は「男はつらいよ」の立て付けかもしれません。
二つ目は監督を主演の松重さんがやっていることだったのですが、なかなかどうして、上記のようにしっかりとストーリーが作られていて、飽きずに最後まで見せてくれました。
松重さん、監督でもいけますね。
スープを探す旅というアイデアも良かったです。
スープというのはつまり出汁。
出汁というのは、その地で採れたり、手に入りやすいものでとられることが多いわけで、それぞれの人のソウルフードとなるものなんですよね。
海外に行って美味しいものを食べてきても、日本に帰国すると味噌汁がとっても美味しく感じるようなものです。
そして出汁は掛け合わせることによってうま味を増すことが知られています。
うま味の相乗効果というものです。
昆布のグルタミン酸と、椎茸のイノシン酸が合わさるとうま味が何倍にもなります。
うま味は食文化でもあります。
フランスに移住した老人の思い出のスープは日本の食材だけでなく、韓国の食材も用いたものでした。
違う食文化の出汁が出会って、新しい味を生み出す。
これは食材のことですが、本作では人と人の掛け合わせのことも暗示していると思います。
五郎は旅先で人と出会い、それが人と人を結びつけます。
五郎が旅先であった志穂から手に入れた食材が、店主に渡り美味しいスープの材料となる。
そのスープがまた志穂の手に渡って、彼女はラーメンを作る。
志穂と店主は会ってはいないけれど、スープでつながっています。
見る前の懸念点は、全くの杞憂でした。
今後とも五郎さんにはいつまでも美味しいものを食べて行ってもらいたいものです。
つくづく終わったら、腹が減る映画でした。

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