「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」丁寧に計算された構成
「カメラを止めるな!」の上田耕一郎監督作品なので、奇想天外な展開になることを期待して見に行ってきました。
ジャンルとしてはコンゲームですよね。
このジャンルは脚本の構成が命。
主人公サイドが嵌めるつもりだったのが、裏をかかれて、さらにそれを大逆転するという展開が醍醐味です。
見ている側も含め、どれだけ大胆に嘘をつき、そして張られた伏線を回収するかというのが、腕の見せどころになります。
その点において、本作はとてもよくできています。
特に最後の最後に明らかになるある人物の正体は、入念に伏線とミスリードが仕掛けられていて、それが回収されるところは見事でした。
このようなコンゲームものは主人公サイドはプロフェッショナルであることが多く、先の先まで読んで仕掛けがされています。
ただどうしても全てをコントロールできるはずもなく、不確定要素が彼らをピンチに陥れるというところが物語のピークになります。
それをいかに知恵を使って乗り越えるというのが、このジャンルの見どころの一つ。
その不確定要素というのが、本作では主人公そのもの。
なにしろ主人公は真面目そのものの公務員です。
人を騙したこともない人物で、いかに詐欺の練習をしたとしても馬脚を表す可能性がある。
主人公そのものが不確定要素というのは面白いところです。
この主人公熊沢を演じるは内田聖洋さん。
この方は演じる役の振れ幅が広くて驚きます。
本作では真面目で気弱な公務員ですが、狂気的で非情な悪人を演じることもあれば、オネエな役もできる。
がっちりした体型なのに、佇まいが変わって見えるというのはすごいです。
「カメ止め!」のようなトリッキーな形ではないですが、コンゲーム作品としてとても丁寧に構成されているなと思いました。
細かいところではいくつか気になったところがありましたが、1回見ただけなので、もう一度見直せばちゃんと整合取れているような気もします。
そういうところもあって何度見ても楽しめそうな作品ですね。
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