「私にふさわしいホテル」権威なんて何するものぞ
忖度ばかりの世の中で、自分が生きたいように生きる主人公が爽快ですね。
主人公は新人作家中島加代子。
新人賞を取ったりしているので、おそらく才能はあるだろうこの御仁、とにかく自分に自信があって、思ったままに道を突っ走る。
賞は取ったものの、その作品がベテラン作家に酷評されたおかげで、その後は鳴かず飛ばず。
愛してやまない山の上ホテルで自主カンヅメしているとき、偶然、仇の作家東十条に遭遇します。
彼もカンヅメされていて、その日は締切日。
彼が原稿を落としてしまえば、恨みも晴らせるし、自分にも原稿を載せられるチャンスが、と妨害作戦を加代子は開始します。
彼女はやることなすこと突拍子もなく、そして歯に衣着せぬ物言いで、普通にその辺にいたらとんでもない人なのでしょうけど、なんか憎めない。
本作の舞台となっているのは昭和でそれも伝統のある文壇。
今でこそ女性が活躍していますが、まだまだ男尊女卑が色濃く残っている時代です。
そんなしがらみでがんじがらめの世界で、加代子は一人気を吐きます。
権威なぞ何するものぞ、と強引に突破していく様は気持ちがいい。
加代子を演じているのはのんさんで、彼女は見た目が可愛いのにこういう突き抜けた役がとても似合います。
とにかく痛快なので、年末を締めくくるにはいい作品かもしれないです。
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