「映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」欲望との付き合い方
今年最後に鑑賞した映画です。
娘が好きで、原作読んだりアニメ版を見ているんです。
アニメ版は時折一緒に見たりしているので、おおまかに設定はわかっていますが、今回は実写版を一緒に見に行ってきました。
予告で天海祐希さんが紅子を演じていて驚きました。
素の天海さんはスラっとスマートなので、紅子の見た目とは全く違いますが、特殊メイクでかなり印象は近くなっていました。
見た目だけではなく、天海さんはお芝居も貫禄があるので、想像以上に役柄に合っているように思えました。
原作が子供向けの小説なので、子供向けの内容かと思いきや、大人が見ても考えさせられるところもあり、ドラマとしても見応えありました。
それもそのはずで、スタッフを見れば脚本は吉田玲子、監督は中田秀夫とベテランの布陣で、しっかりとした作りになっているのも納得です。
アニメも含めた「銭天堂」シリーズの私の印象は、ややブラックなテイストの「ドラえもん」というところでしょうか。
銭天堂で売られているお菓子って「ドラえもん」の秘密道具っぽいところがあると思いませんか。
この駄菓子を食べると不思議な力が身について、望んだことが叶えられますが、いい気になって使っていくとこっぴどくしっぺ返しを受けてしまう。
「ドラえもん」でのび太はいつも秘密道具を使って、欲張りすぎて失敗してしまいますが、「銭天堂」でも何人かのお客はのび太のように欲に流されて、大変な目に遭ってしまいます。
アニメ版を見ていると、意外と救われないまま終わってしまう時もあり、思っていたよりブラックな印象なんですよね。
そういう意味では「笑ゥせぇるすまん」に近いかもしれないですね。
実写版でも主人公小太郎の大学の後輩である相田さんなどは自分の欲望がコントロールできない状態になってしまいます。
その様は買い物依存症ぽくもあり怖くなります。
願いを叶えたいという欲望は人が行動を起こすモチベーションとなり、それ自体は悪いものではありません。
しかし、欲望に支配され、人生全てに優先されてしまうと不幸になります。
そして欲望に支配されると、自分と他人を比べたくなります。
もっともっと欲しくなる。
人よりももっともっと。
その欲は周りの人も、そしてその人自身も不幸にしてしまう。
そもそも欲望は自分の中から湧き起こるものですが、いつの間にやら自分自身を支配してしまう。
作品の中でも悪意と呼ばれるものは自分の中から湧き出る黒い煙のように描かれていますが、それが自分も、人も飲み込んでいってしまいます。
欲望の力を知りながら、それをうまくコントロールしていく術を身につけていかなくてはいけません。
主人公の小太郎は幼い頃、願望を叶え、その力をうまく使って、良き大人になりました。
完璧ではないけれど、自分の願いを力にして善良な人間として生きてきました。
彼のように生きていきたいものです。
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