「ヴェノム:ザ・ラストダンス」完結作ではあるが、物足りない
「ヴェノム」シリーズは長尺化の傾向があるスーパーヒーロームービーの中にあって、コンパクトな長さの作品です。
それにより見やすくなっているとは思いますが、キャラクターなどの深堀が甘いことにも繋がっていると思います。
本作ではエディとヴェノムのバディムービーで、彼らの別れが描かれます。
彼らは政府から追われる逃亡者です。
政府の目を掻い潜りながら、彼らはニューヨークを目指しますが、その過程はバディムービーによくあるロードムービーのよう。
個人的にはもう少し二人の別れはエモーショナルにしても良かったのでないかという印象です。
尺がコンパクトだったせいもあるかもしれませんが、割とあっさりしていたようにも思います。
完結作ではありますが、少々物足りないですね。
二人の関係性は今までの2作で作られているので、前半はもう少し簡潔にして、後半戦をじっくり描いても良かったのでないでしょうか。
ちょっとバランス悪い感じがしました。
あと、バランスの悪さはキャラクターの描き方にも感じました。
今回エディとヴェノム以外は初出のキャラクターですが、彼らの描き方が中途半端に感じました。
一緒に旅する家族はまだいいのですが、政府側がいかにも中途半端。
シンビオートの研究をしているペイン博士はティーンの頃のトラウマが最初に触れられますが、それ以外彼女のキャラクターは深掘りされません。
過去のエピソードが描かれるため彼女は重要そうなキャラクターに見えますが、出来事に対して彼女の気持ちが深く描かれることはあまりなく消化不良に感じます。
これなら、過去エピソードを入れてこなくてもいいのではないかと思いました。
もう一人パンフレットに名前も出ていないキャラクター、クリスマスの人です。
彼女は自らシンビオートを寄生させ、ヴェノムと共闘しますが、彼女に関してはその動機すら描かれません。
これだと話の都合上のいい宿主でしかなく、キャラクターの扱いとしては乱暴のような気がしました。
また今回登場したヌルについても、ラスボスではなく、こけおどしのような印象です。
サノスのような思わせぶりな登場で、今後SSUの中で重要な役割を背負うのかもしれませんが・・・。
ポストクレジットであったようにSSUでもヴェノムのカケラは残っているようなので、また新しいシリーズが立ち上がる可能性はあるかもしれません。
MCUのアース616にもヴェノムのカケラは残っていたと思うので、あちらの展開も依然として気になります。
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