「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキングゲーム」納得の着地点
予告を見てみたら東京にミサイルが発射されるなどのシーンがあって、ちょっとびっくりしました。
元々第1作目は、スマホを落としてしまう、という出来事から始まり、恐ろしい事件に発展していくということが描かれていました。
スマホを落とす、忘れる、というのは誰しも一度はやったことがあるようなことだと思うので、それが加速度的に恐ろしい展開になっていくので、サスペンスとしてとても自分事感があったと思いました。
そういう1作目は好きだったので、冒頭に書いたようなスケール感になってしまうと、無理やり続編を作るためにスケールアップしているようにも思え、ちょっと違うのではと感じたのが、予告を見た時の印象でした。
そのため期待度としては低めに設定していたと思います。
「スマホを落としただけなのに」はシリーズではあるのですが、主人公は変わっていきます。
一作目は犯人浦野に執拗に狙われてしまう女性、麻美。
二作目は浦野を追っている刑事、加賀谷。
そして最終作である本作は浦野が主人公です。
浦野というキャラクターは今までのシリーズでも描かれていたように非常に複雑な人物です。
自分の母親から虐待された経験から、母親に似た女性への執着心が異常に強く、また愛情を与えられなかったため他人を傷つけることに対しても禁忌がありません。
ただ人一倍孤独も感じているからか、自分と同じような境遇であった加賀谷に対しては、共感も持っています。
彼はモンスターでありながらも、人から愛されることに対して渇望している人間らしさも併せ持っているのです。
彼は、彼や加賀谷と同じように親に虐待された経験を持つスミンと出会います。
彼も、そして彼女も互いに同じ境遇であったことから、シンパシーを感じていきます。
本作は彼のそういった人間らしい側面に光を当てていき、複雑な彼の人物が立体的に描かれているように感じました。
このような作品がシリーズ化していく時にありがちなのが、極端なアウトローが次第に”いい人間”になっていくことがあります。
それはやや興醒めに感じる時があるので、見ている途中はそのような懸念も感じていました。
しかし、です。
ラストについては書けませんが、個人的には納得の結末でした。
伏線もうまく回収してきたと思います。
万事がうまくいくハッピーエンドは興醒めしてしまうので、非常にうまい着地点であったと思いました。
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