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2024年8月13日 (火)

「キングダム 大将軍の帰還」大将軍の視座

「キングダム」シリーズの4作目、最終章という触れ込みの本作、タイトルにあるように大将軍王騎が実質的な主人公とも言える物語でした。
今までの3作でも出番は少ないながらも圧倒的な存在感があった大将軍王騎、今回は自ら得物を持って、宿敵龐煖と戦います。
今までは指揮をしている姿しか見たことがなかった王騎ですが、戦士としての闘いぶりも圧倒的です。
王騎と龐煖の一騎打ちはそれだけで見る価値があるものになっています。
王騎は常に顔に微笑を浮かべ、そして冷静に戦況を把握し、指揮をする。
彼の心の奥底は微笑の影に隠されていますが、本作で彼が抱えてきた心の傷が明らかになります。
本作は王騎から信への継承の物語でもあります。
王騎は信に大将軍の器を感じ、今まで彼に思い課題を与え、そして将軍になるための心構えを解いてきました。
信はその教えを吸収し、100人隊を指揮するまでに成長します。
一騎当千となる戦士は、数は少ないながらもいます。
しかし、その中で将軍になれるものはその一部、そしてさらに大将軍になるのはほんの一握りです。
何がその違いを生むのか。
それは視座であると思います。
戦士は目の前にいる強敵だけを見る。
敵をいかに倒すかだけを考える。
将軍になれば、視座は少しは上がるでしょう。
それでもそれは自分の部隊が接する敵の軍団にまでしか及びません。
本作に登場した蒙武という将軍は、猪突猛進型の将軍でそれが秦の部隊を聞きに落とします。
大将軍の視座とは、戦場だけに限らず、その先の国と国と情勢まで、見通す目であると思います。
王騎が自分の死を確信した時、信を馬上にあげます。
そして何が見えるか、と問います。
これは王騎から信への最後の教えで、視座を高く置けということであるのでしょう。
ずっと王騎は信のことを「童(わらべ)信」と読んでいましたが、最後の時、彼を「信」と呼びました。
一人前の将軍候補として認めたということでしょうか。
秦の宿敵である趙には李牧という戦略家が現れます。
彼もまた遠くを見通すことができる大将軍の器と言えます。
やがて信と李牧が激突するのでしょう。
その時、信は大将軍の視座を獲得できているのでしょうか。
本作は最終作と言われていましたが、5作目の撮影開始が近いとの噂もあります。
ここまできたら信の行く末を追っていきたいですね。
噂が本当になることを祈りたいです。

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