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2024年8月18日 (日)

「仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク」感じないダイナミズム

テレビシリーズはすでに最終版を迎えている「仮面ライダーガッチャード」の劇場版です。
令和ライダーとなってすでに「仮面ライダー」も5作目となっていますが、今期の「ガッチャード」は個人的には最も物語にのれていない作品となってしまいました。
平成以降の「仮面ライダー」は一年間を通して、縦軸のストーリーが非常に強い構成になっています。
対して「スーパー戦隊」シリーズは一話完結的な構成が強い傾向にあります(昨年の「キングオージャー」は例外的に縦軸のストーリーが強かった)。
「仮面ライダー」の縦軸のストーリーは時に驚くべき展開となり、一年間を通してダイナミックさを生み出してきました。
「ガッチャード」はその縦軸のストーリーが相対的に弱い印象です。
主人公宝太郎の全てのケミーと仲良くなる、という願いは縦軸の要素ではありますが、それによって他の人々や世界に大きな変化をもたらすものではありません。
中盤以降、グリオンや冥黒王たちが登場して、ストーリーにテコ入れは入りましたが、彼らの目的もいまいちはっきりとしません。
グリオンの言う黄金境とはどういう世界なのでしょうか。
無論縦軸が弱いのはいけないというわけでありません。
一話完結的なストーリー展開も良い作品はたくさんあります。
「ガッチャード」でも加治木のエピソード(9、10話、44、45話)はとてもエモくて良い話でした(この辺りはさすが長谷川圭一さん)。
「ガッチャード」で気になったのは、冬の映画の時にも書きましたが、あらかじめ映画やスピンオフを見越した展開となっており、それらがあまり本筋には影響を与えないことです。
冬の映画ではテレビで登場した錬金連合の話が劇場版で回収されましたし、本作で再登場したガッチャードデイブレイクもテレビシリーズの登場が前振りのようなものでした。
仮面ライダーレジェンドもスピンオフを見ていなければ、テレビシリーズでは突然登場したキャラクターに見えたことでしょう。
デイブレイクはタイムトラベル、レジェンドは並行世界というギミックを使っていますが、これらの設定も便利に使いすぎだと思います。
「電王」では時を旅するということの意味、記憶というもの意味がテーマになっていましたし、「ディケイド」では並行世界という設定が物語に大きく結びついていました。
本作はタイムトラベルも、並行世界もただの便利なツールのように深く考えられないで作られているように思います。
本作では錬金術が重要な存在ですが、これがもはや何でもありの魔法となっている感じがします。
本来は錬金術ならではの制約(某漫画のような等価交換の法則)などがあった方がより盛り上がったような気がします。
どうも一貫してどのような話にしたいのか、方針があまりきちんと立っていなかったというのが「ガッチャード」の印象です。
ですので、この映画に関しても最初からあまり気持ちは入らず、見てみてもただのスピンオフという程度であまり感心しませんでした。
最近の「仮面ライダー」の劇場版はこのような作品が多く、物足りない印象を持つことが多くなっています。

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