「ツイスターズ」異なる主人公像
1996年の竜巻映画「ツイスター」の続編です。
前作と同様に、竜巻を追うストーム・チェイサーたちが登場しますが、ストーリー的な繋がりはありません。
唯一関係があると見られるのは、主人公ケイトたちが学生の頃に使っていた実験器具が「ドロシー」で、これは前作の主人公であったジョーたちが開発したもの。
彼らのお下がりをケイトたちは使っていたのでしょうか。
ちなみにケイトたちが新しく使う竜巻の解析装置にはスケアクロウ(かかし)、ブリキなど名前が付けられており、「オズの魔法使い」繋がりになっています(ドロシーは竜巻でオズの国に行ったので)。
前作と本作はストーリーとしては繋がりはほぼないわけですが、主人公像は対照的です。
前作の主人公ジョーは幼い頃に大竜巻により、愛する父親を亡くしました。
それが彼女にとってトラウマとなり、竜巻に彼女は固執します。
竜巻を追えば、父親に会えるような気持ちもあったのかもしれません。
そしてまた竜巻は父親を奪った敵でもあり、彼女にとってそれは怒りの対象でもありました。
対して本作の主人公ケイトにとっては、竜巻は恐れの対象です。
血気盛んな学生時代、彼女の判断のミスにより、仲間たち、恋人が竜巻に命を奪われます。
ジョーと同様に、ケイトも愛する者を竜巻に奪われたのです。
ケイトにとっても竜巻はトラウマなのですが、かつての自分が功名心で陥った過ちを見せつけてくる存在なのです。
彼女はそれから逃げ出しました。
ジョーは幼く無力だったため、父親を奪った竜巻に対してなす術はありませんでした。
だからこそ、大人になって対抗する力を持った時、その竜巻を制御しようと思ったのでしょう。
ケイトは竜巻がトラウマになった時、十分に大人であ離ました。
友人たちの命を奪ったのは、無論竜巻でありますが、そのきっかけとなったのは、自分自身だったのです。
ですから彼女の気持ちはジョーのように竜巻に向かうのではなく、自分自身に向かったです。
このように、同じく竜巻を扱い、それらを追うストーム・チェイサーたちを描いていますが、この2作品の主人公の違いを見てみても面白いのではないでしょうか。
| 固定リンク
コメント