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2024年8月24日 (土)

「インサイド・ヘッド2」良いところも、悪いところも自分自身

感情のキャラクター化ということにチャレンジし、見事なストーリーを紡ぎ出した前作「インサイド・ヘッド」。
米国でも日本でも興行は好調のようです。
それもさりありなん、続編である本作も前作同様に見事な出来栄えです。
少女ライリーの頭の中でヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカはワンチームで、ライリーの幸せのために奮闘していました。
しかし、突然司令室に鳴り響く警報!
それは思春期警報でした。
皆、経験あるように思春期は心の様相が大きく変わる時期です。
そしてそのこと自体に自分自身も翻弄されます。
そんな思春期を迎えたライリーの中に現れたのが、新しい感情たち。
シンパイ、ダリィ、イイナー、ハズカシです。
シンパイはネガティブな未来のことばかりを考えてしまう感情。
これは悪いわけではなくて、予想される未来に対して何か対策をしようという原動力にもなります。
ただ心配ばかりしてしまうと、かえって何も動けなくなったりもします。
ダリィは不貞腐れて、冷めた感情ですね。
これも思春期ならではでわかります。
イイナーは人を羨ましがる気持ち。
憧れる気持ちかもしれません。
これは行動力にもつながるかもしれませんが、空回りしてしまうことも。
そしてハズカシ。
これはあまり目立ちたくないという気持ち。
人と比較してしまい、自分の悪いところ、いけてないところばかりが気になってしまう気持ちですね。
いずれも思春期らしい感情で、それが魅力的なキャラクターになっています。
従来の感情に加え、この新しい感情がバランスをとっていく、というのが大人になっていくということなのでしょう。
でも思春期というのは、そのバランスがうまく取れないという時期なのですね。
その感情の混乱が本作では描かれます。
ヨロコビたちは自分たちがライリーの美しい<ジブンラシサのはな>を守ろうとします。
しかしシンパイたちは新しいライリーの<ジブンラシサの花>を育て始めます。
その花は不安定で、揺らぎがあります。
この揺らぎは思春期の不安定さを表しています。
この時期は自分自身が他の人と比較して、優れていると思えることもあれば、逆に全く箸にも棒にもかからない人間とも思えてしまうことがあります。
最高と最悪の間を揺れ動く感じですよね。
特に最悪の気分の時は、自分が欠点だらけのダメ人間に思えてしまいます。
この最高と最悪を行き来することが、<ジブンラシサの花>の揺らぎで表現されているのでしょう。
ヨロコビたちは完璧な花こそがライリーらしさと初めは考えていますが、いい部分も悪い部分も不安定さも含めてライリーらしさと気づきます。
まさにこれは人が思春期を経て、自分らしさということを見出していく過程でしょう。
良いところも、悪いところも含めて、自分自身として受け入れられる。
それが大人になるということなのですよね。
自分のことで言ってしまうと、自分のインサイドヘッドでは、おそらくシンパイがリーダーのようになっているんだろうなと思います(笑)。
良くも悪くも心配性なので。それでうまくいく場合もしんどい場合もありますよね。
それも自分。

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