「トラペジウム」イタさも含めて人間らしさ
先日結婚を発表した元乃木坂46の高山一実さんの小説のアニメ化作品です。
そもそもアイドルにはほとんど興味がなかったのですが、予告編を見て気になって見に行ってきました。
タイトルのトラペジウムとは聞きなれない言葉ですが、調べると不等辺四角形という意味のようです。
これは本作の中心となるアイドルグループ「東西南北」の四人のメンバーのことを指しているのでしょう。
また、オリオン星雲の中にある4つの重星もその形からトラペジウムと呼ばれるそうです。
そういえば、映画の中でもオリオン座を映すカットがいくつかありました。
不等辺四角形とは4つあるどの辺も並行でない四角形のことです。
これは四人のメンバーが違った方向に歩んでいくことを意味しているのでしょうね。
主人公であるメンバーの中心人物、東ゆうは本作の中で色々な面を見せてくれます。
彼女は幼い頃より、アイドルになりたい、という夢を持ち続けそれに向かって邁進してきました。
そのための努力は惜しまず、やるべきことがあれば突き進んでいく行動力もあります。
このような面は非常に主人公らしい主人公であると言えます。
けれども、彼女のそういう一面だけではなく、本作では非常に人間らしい側面も描かれます。
彼女はプロデューサー気質で、リーダーとして引っ張っていこうとしますが、メンバーの一人一人に気を配る余裕はありません。
彼女にとって自分の夢が最も優先されるべきであり、メンバーそれぞれがどう考えているか、というところまで思いを馳せることができていないのです。
悪く言えば、打算的であり、メンバーのことを駒の一つとしてしか見ていないとも言えます(そう意識していないにせよ)。
メンバーも自分と同じ夢を見ている、と思い込んでいる節もあります。
これは社会人になってからの通常の会社組織でもあって、部員のベクトルがあっていない事に気づかない管理職はよく見かけます。
これは外から見ていると相当にイタいわけですが、本人はそれに気づくことができないということが割とありますね。
そのような点も含め、ゆうは非常に人間的で、よくあるアニメのような類型化されたキャラクターではなかった点が良かったですね。
キャラクターの絵柄がいわゆる萌え的なタッチだったので、このような展開であるとは思っていなかった分、しっかりと人間のイタい部分まで触れられていて、作品として見応えがありました。
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