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2024年5月 5日 (日)

「陰陽師0」晴明と博雅の関係性は良い

このところ「キングダム」や「ゴールデン・カムイ」など原作の映画化作品の主演を務め、大ヒットを連発している山崎賢人さんが安倍晴明を演じているのが、この作品。
上記の作品は非常にアグレッシブなアクションが売りで動的な印象でしたが、本作ではどちらかというと静的で優美なアクションを披露しています。
原作は夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズで、タイトルに「0」とあるのは、まだ晴明が陰陽師になる前の学生(がくしょう)の頃を描いているためです。
「陰陽師」シリーズは野村萬斎さん主演で2度映画化されていますが、私はそちらは未見です。
が、原作の方は数冊読んでいます。
「陰陽師」シリーズは夢枕獏さんらしい独特の世界観を持っているのと、もう一つ、安倍晴明と源博雅の深いつながりがシリーズを通して描かれているところが魅力です。
晴明は古今の知恵と呪術に精通していて、それを持って京の街で起こる怪異に向き合います。
そもそも怪異というのは、本作でも触れられる「呪」のように、自分でも気がつかないうちに持ってしまった思い込みによって、歪んでしまった目で世界を見ることにより引き起こされます。
時折、晴明ですら、その歪みに囚われることもあるわけです。
源博雅という男は非常に素直な人間で、そのため騙されることも多いのですが、その素直なものの見方が時として歪みを払ってくれることがあり、それによって何度か晴明は救われています。
このように晴明と博雅の友情は固く結び付けられており、小説でも二人が酒を酌み交わす場面がしばしば描かれています。
映画化するにあたり、この二人の関係性は大事にしてもらいたいと思っていましたが、原作者の夢枕獏さんもかなり関与しているということで、ちゃんと描かれていましたね。
博雅のキャスティングは染谷将太さんで少々意外でしたが、素直で愛すべき彼になっていました。
山崎賢人さんはかなりがっしりしているイメージで合うかな、と思っていたのですが、こちらも静かでありながら揺るぎない晴明にあっていたと思います。
ストーリーとしてもシンプルでありながら「陰陽師」の世界観を捉えていて、かつ先に書いた二人の関係性もしっかりと押さえていたので、よかったですね。
残念だったのは、幻想的な世界を見える形にするVFXで、少々物足りないところがありました。
今回は深層心理の世界なので、舞台としては複雑なものではなくなるのだと思うのですが、もっと幻想的であっても良いかなと思いました。
独特の世界観をもう少し作り上げられたら、より個性的になったのではないでしょうか。

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