「マダム・ウェブ」慈愛の心の覚醒
興行成績も評判もあまりよろしくない本作ですが、個人的には結構楽しめました。
そもそも「マダム・ウェブ」が属するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)は今までも何作品も公開されていますが、どれもピンとくるものはあまりなかったので(「モービウス」は最悪だった)、期待度があまり高くなかったというのもありますが。
本作の主人公はある特殊能力に目覚める救命士のキャシー。
彼女はいずれマダム・ウェブと呼ばれるヒーローとなるわけですが、その能力は非常に変わっています。
彼女が身につける能力は未来予知未来予知。
キャシーはいずれ起こる出来事を事前にヴィジョンとして見ることができるようになるのです。
しかし、能力はそれだけで、常人離れしたパワーがあるわけでもなく、壁を這うことできるわけでもなく、銃弾を防ぐような皮膚を持っているわけではありません。
銃で撃たれたり、ナイフで刺されば、血を流して死んでしまうのです。
事実、マダム・ウェブはマーベルヒーローの中では戦闘能力としては最弱とも言われています。
しかし、だからこそ展開が面白い。
戦闘能力は常人並みで、未来予知能力は覚醒したばかりで使いこなすとまではいっていない。
敵となるのはスパイダーマンのような能力を持つエゼキエルという男であり、彼からの執拗な攻撃を避けるにはそれこそ知恵と勇気しかありません。
そして彼女がヴィジョンでエゼキエルに殺されてしまう様子を目撃してしまった三人の少女たちとの絡みも面白い。
ティーンの彼女たちはそれぞれ個性的であり、まとめるだけでも手がかかる上に、キャシーの言うことを全く聞く気がない。
彼女たちの行動がトラブルを引き寄せ、よりピンチに陥ってしまうストーリーはなかなか惹かれるものはありました。
このようにトラブルメーカーたちと一緒に逃避行を続け、かつ攻撃能力がないヒーローであるため、ピンチはなかなかハラハラするところがあります。
これ、面白くないですかね?
キャシーは幼い頃に母親に捨てられたという思いが強く、人と関わりたくないというタイプであったと思います。
しかし、一連の逃避行の中で、母親の本当の思いに気づくことができました。
3人の少女たちもそれぞれ、居場所を失っています。
母親の思いを知ったキャシーは3人の少女たちに対して、母親のような思いを持つようになったのかもしれません。
他人と関わりたくなかったキャシーは、人を強く思う慈愛の心も能力と共に覚醒したのでしょう。
それがラストバトルでの新たな能力(幽体離脱)の覚醒につながったのでしょうか。
マダム・ウェブは未来予知をすることで、より良い選択肢を選ぶことができます。
異なる選択肢を選ぶということは、新たなユニバースを生み出す行為とも言えます。
マルチバース化が進むMCU、SSUにおいて今後重要な役割を背負う可能性もありますね(とはいえ、興行が悪いのでどうなるかはわからないですが)。
最後に、キャシーの同僚の男性がベン・パーカーであることをあとで知りました。
かのスパイダーマンに登場するベンおじさんですね。
MCUのスパイダーマンにおいてはすでにベンおじさんは亡くなっていますが、ベンおじさんとピーター・パーカーの絡みはいずれ見てみたい気もします。
また、キャシーがヴィジョンで予知した3人のスパイダーウーマンたちとスパイダーマンの共演も期待したいです。
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