「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」生命讃歌
今年の「ドラえもん」劇場版は音楽がテーマ。
宇宙や恐竜などの冒険がテーマになることが多い「ドラえもん」シリーズですが、音楽がテーマというのは珍しい印象です。
わかりやすく冒険が描けるわけではないので、なかなか劇場版としてエンターテイメントと仕上げるのが難しそうだと思いましたが、なかなかどうして非常に楽しめる作品に仕上がっていました。
音楽はとても原始的でありながら、人の生命力が表現される芸術であると思います。
原始的であるというのは、この芸術はとても身体的であるからだと思います。
ただ何かを叩んでリズムを刻むというのも音楽ですから。
今回の作品で最終的にドラえもんたちが戦うのは、宇宙の星々を飲み込んでいくノイズという存在。
ノイズは生命が奏でる音楽(ファーレ)が苦手であり、ドラえもんたちは音楽で立ち向かっていきます。
音楽はまさしく生命の象徴。
ドラえもんたちが音楽を演奏しながらノイズと戦っている時に、地球上の人間たちが日常の営みから奏でられる音が重ねられていきます。
お料理を作るときの包丁の音。
家を建てる時のノコギリの音。
人が、生命が生きている時に奏でる音、音楽が、すべての生命を飲み込もうとするノイズに対抗していくのです。
まさに生命讃歌です。
ドラえもんたちがノイズと戦う時の音楽とその映像表現も見事で、なかなか映像化しにくい音楽をダイナミックに表現できていたと思います。
ストーリーとしても凝ってい益田、
のび太たちは共にノイズと戦うことになるミッカという異星の少女と出会います。
ミッカたちはノイズに滅ぼされた星から宇宙船で逃げ出してきて、地球の近くに長年隠れ住んでいた種族です。
古代にその種族は一族を途絶えさせないために、ミッカの妹を地球に送り込みました。
彼女は古代人とやがて結ばれ、そしてそこから地球にもファーレ(音楽)が根付いていくのです。
そしてその子孫である歌姫ミーナも、のび太やミッカに手を貸すことになります。
連綿と続いていく生命、そして音楽。
これもまた生命讃歌ですね。
「ドラえもん」の映画として見ると、ややドラえもんとその秘密道具の印象は薄く、そこを期待した方からすると少々物足りないところもあるかもしれませんが、いつもと異なる冒険を描こうとする心意気は私としては支持次第です。
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