「ゴールデンカムイ」全編高密度
原作漫画の再現レベルが高いと評判の本作ですが、私自身は原作は読んでないため、純粋に映画の感想となります。
大正時代の北海道を舞台とし、元軍人の杉元とアイヌの娘アシリパがバディとなり、アイヌの隠された金塊を探します。
彼らと北海道独立を企む鶴見が率いる第七師団と、戊辰戦争の生き残り土方歳三らが三つ巴の戦いを繰り広げられます。
ストーリーの展開は非常に早く、見どころが次から次へと展開されるので飽きることはありません。
まず登場するキャラクターたちが非常に魅力的です。
杉元は日露戦争で何発もの銃弾を受けても必ず生還することから「不死身の杉元」と呼ばれています。
そう聞くと殺伐としたキャラクターのように思えますが、時折見せるユーモアや、アシリパと一緒の時には穏やかな表情を見せ、多面的な魅力を感じます。
主人公杉元を演じているのは「キングダム」でもその再現性が高いと言われている”実写化俳優”山崎賢人さん。
「キングダム」でもそうですが、この方は非常に身体能力が高く、アクションの見栄えが素晴らしい。
アクション映えする俳優としては佐藤健さんも挙げられると思いますが、彼のアクションは非常にスマートであるのに対し、山﨑さんの場合は本作でも鍛えられ上げた肉体を披露していますが、肉や骨の感触を感じるような肉弾戦のイメージがあります。
冒頭の戦闘シーンなどは鬼神格やという形相ですが、先ほどあげたような穏やかな表情も見せ、この辺りの振れ幅は山崎さんならでは。
杉元の相棒となるアシリパを演じるのは山田杏奈さん。
この方はあまり知らなかったのですが、役柄に非常にマッチしていたと思います。
アシリパもシリアスな背景を持ちながらも、時に見せる勇敢な凛々しさ、そして歳相応の可愛らしさもあり、山崎さん同様に幅広いキャラクターを体現できていたと思います。
敵役となる鶴見を演じるのは玉木宏さんで、二枚目俳優である彼が、相当にぶっ飛んだ役を演じるのは観ていて新鮮でした。
戦争で頭に傷を負い、興奮すると髄液が流れてくるなんて狂った役、なかなか演じるのも大変そうですが、非常に生き生きとしていたように思います。
登場するキャラクターたちは、漫画的といえば、その通りなのですが、それらをしっかりと血が通っている人物として俳優陣が演じレているところが、実写化映画として評価されているポイントなのでしょう。
あと、実写映画ならではなのが、監督がこだわったという雪深い北海道の風景でしょう。
やはりリアルな風景はCGなどで作られた風景とは全く違う空気感があります。
この空気感により、そこに暮らしていたアイヌたちの息吹を感じることができたように思います。
もちろんアクションシーンも見せどころが多数あり、冒頭の203高地の戦いしかり、ラストのソリでのチェイスしかり、見応えがありました。
かなり密度の高い作品で、上映時間はあっという間に過ぎた感じがします。
これでもまだ原作の漫画で言うと、まだ序盤ということで。
この後の展開が楽しみです。
しかし、「キングダム」と「ゴールデンカムイ」掛け持ちとなると山崎さんはかなりこれからも肉体的にハードそうですね。
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