「ゴジラ-1.0/C」モノクロにした効果
日本アカデミー賞でも数多くの賞を受賞し、さらには米国のアカデミー賞でも視覚効果で日本初のノミネートとなった本作、公開からしばらく経っていますが、多くの話題を提供しています。
本作は「ゴジラ-1.0」をモノクロにしたバージョンとなります。
「シン・ゴジラ」でもモノクロ版を公開し好評だったことを受け手のモノクロ版となります。
しかし、ただモノクロに変換しただけではなく、カット毎にモノクロにするために細かい調整をしているとのことです。
基本的にストーリーは変更がありません。
変更があったのは、冒頭の東宝のロゴの白黒バージョンになっているのと、長年山﨑監督作品のプロデューサーを務めていた阿部秀司さんへの追悼文が加わっているところでしょうか。
モノクロになったことにより、いくつかの効果があったように思いました。
1つ目はモノクロで色の情報がなくなったことにより、陰影のみの表現となり、より原始的な恐怖感が出てきたとおもいました。
特に冒頭の大戸島で初めてゴジラと邂逅するシーンは迫力がましたと思います。
シーンは夜なので、ゴジラの姿はカラー版に比べて視認しにくくなっています。
ゴジラのゴツゴツした肌も陰影が強調され、より異形さが増しています。
そのため、見たこともない怪物に襲われているという恐怖感が増し、主人公がどうしても撃てなかったということの納得性を増しているように思えました。
2つ目はドキュメンタリー感がより強くなったことです。
本作で描かれている時代は戦後間も無くであり、まだテレビなどもなかった時代。
その時代を表すにはカラーよりもモノクロの方が、時代性が伝わりやすいように感じました。
特に浩一と典子が暮らすバラックなどのシーンはモノクロの方がより昭和の戦後間も無くの雰囲気が出ていたと思います。
3つ目は典子を演じている浜辺美波さんの美しさが際立って見えたこと。
元々彼女は昭和の女優のオーラを纏っていると評されることが多いですが、よりモノクロになったことにより、かつての昭和の大女優の原節子さんらのような見え方をしていて、それがまた彼女の雰囲気にとてもマッチしているように見えました。
原始的な恐怖を引き起こすゴジラの存在感、その時代のドキュメンタリーを見ているような空気感、浜辺さんの昭和大女優のような佇まいが、より本作の質感を強化しているように思いました。
モノクロ化という点では、「シン・ゴジラ」よりも本作の方がやる意味合いというのを感じましたね。
見る価値はあると思いますので、ぜひご覧ください。
阿部秀司阿部秀司な
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