「仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦」もう少し丁寧に
「仮面ライダー」シリーズの恒例の冬映画となりますが、正直このところの劇場版は精彩がありません。
本作についてもそのように言えるかと思います。
特に冬映画は平成ライダー第二期からオンエア中の現役ライダーとその一つ前の先輩ライダーがコラボするのが恒例となっているため、異なる世界観をつなぐ仕掛けが必要となってきます。
平成以降の仮面ライダーはそれぞれが独立した世界観を持っているため、以前はコラボレーションするにしてもなぜそのようなことになっているか、設定的に吟味されていたと思いますが、最近はその辺りは非常にゆるく取り扱われています。
もちろん設定過剰で複雑になるのは本末転倒だとは思いますが、ゆるすぎると物語がご都合主義に陥りやすくもなります。
最近の劇場版はその傾向が強い気がします。
本作はまさにそうで、神となったはずの英寿が普通に仮面ライダーとして現れることについて何の説明もありません。
神だからなんでもあり、ということなのかもしれませんが
前作に思い入れがあるほど、安易な展開には残念な気持ちになってしまいます。
今回の「ガッチャード」と「ギーツ」は作品のトーンも真逆であるため、共存させることに苦労はあったとは思います。
全体的な比重としては「ガッチャード」が8、「ギーツ」が2といったバランスでしょうか。
「ギーツ」のキャラクターたちはゲスト的な扱いでしたので、これであったら無理矢理にコラボでもなくてもいいかなと思いました。
もう一点気になったところとしては、本作は「ガッチャード」本編の世界線に位置するものとなっていますが、15話と16話の間にある出来事となります。
今まで「仮面ライダー」の劇場版の場合、パラレルワールド的な扱いのもの(「555」や「ブレイド」「ジオウ」)もあれば、同時間軸のものとがあります。
同時間軸の場合も、本編との整合性をしつつ、映画を見てなくてもテレビの方は話は追いかけられる作りとなっていました。
しかし、今回の劇場版は15話までの伏線が劇場版で回収され、その後の16話ではそれらが「済んだこと」として話が展開していきます。
今回の劇場版では重要な二号ライダーが登場するというイベントがありますが、その後の16話ではそのライダーの誕生は描かれず「済んだこと」となっています。
これはテレビしか見ていない方にとっては、いかがなものかと思います。
劇場版に足を運んで欲しいという気持ちはわかりますが、ややテレビシリーズの視聴者には不誠実な展開であるように思いました。
これらのことを含めて、本作は非常に安易である印象が強く、今後はもっとファンにとっての満足を意識した作品になって欲しいと思います。
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