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2023年10月23日 (月)

「ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!」アメリカ人てなんでカメのニンジャが好きなの?

「ミュータント・タートルズ」の映画作品は実写、アニメを合わせると本作で7作目。
原作のコミックは1984年で最初の映画は1990年。
30年弱で7本は結構なハイペースではないかと思います。
本作を端的にいうと、カメがミュータントで忍者でティーンエージャー。
個人的に忍者のカメってどうにもかっこいいと思えないのですが、アメリカ人はグッとくるのでしょうか。
7作全ての作品を見ているわけではありませんが、5本くらいは見ているはず。
どれも正直言って、印象には残っておりません。
金銭に触れんかったのだと思います。
本作はスルーしようかと思っていたのですが、予告を見た時の絵柄のタッチに興味があったので、行ってきました。
昨今3D CGのアニメーションは当たり前となってきていますが、ぬめっとしたCGぽいタッチは見慣れすぎて食傷気味となっています。
しかし「スパイダーマン:スパイダーバース」がそれまでの3DCGアニメーションとは異なるタッチに挑戦し、成功したことにより、さまざまなタッチのアニメーションが作られるようになってきました。
本作もポスターカラーで描いたような手書き風タッチのCGが印象的です。
これがコミックらしさ、ティーンエージャーらしさ、ストリートぽさをうまく表していて、世界観を上手に表現していると思いました。
CGだからできるアングルやカメラワークもふんだんにあり、今だからできる「ミュータント・タートルズ」になっていると思います。
とはいえ、ストーリー時代はそれほど新しさも感じず、そもそもカメのミュータントにあまり思い入れも持てなかったので、映画に感情移入するまでは私自身はあまりできませんでした。
本作を見終わってもアメリカ人がカメのミュータントに思い入れを持つ理由がまだ分かりませんでした・・・。

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2023年10月22日 (日)

「沈黙の艦隊」満を持しての実写化

コミック「沈黙の艦隊」は学生から社会人になった20代の頃、リアルタイムに読んでいました。
そのストーリーは現実に米ソの間の冷戦構造と核抑止があるという時代をベースに作られていましたが、まさに連載中にソ連崩壊、それに伴う冷戦構造の終結という大きな変化の中で展開されていきました。
その後、世界は米国への一極化、そしてテロ事件の勃発などがあり多極化へ変化していきます。
本作が映像不可能と言われてきたのは、潜水艦そして艦隊との戦いを描くのが難しいのもありますが、現実世界の状況が原作の頃と大きく変わってきたのもあったかと思います。
しかし、ロシアが仕掛けたウクライナ戦争により、再び核による恫喝が現実的になってきたということもあり、再び本作で語られてきた考え方に注目がいくようになったのでしょう。
映像についても、今回は自衛隊の協力が得られたこと、そしてCGなどの技術の発達がありクリアでき、まさに満を持しての実写化ということでしょう。
主人公海江田を演じるのは大沢たかおであり、考えを読ませない得体の知れなさをうまく表現していたと思います。
「キングダム」もそうですが、大沢さんはコミックのキャラクターを再現するという点で、非常にテクニックを持っていると思います。
ストーリーも終始緊張感を持たせながら展開しており、ややもすると政治色が強くなり会議室での会話劇が中心になりがちなところ、バランスよく潜水艦戦、艦隊戦を入れてきているので、エンターテイメントとしても見やすくできているかと思います。
惜しいのは、というより長い原作を映画化するということで仕方がないところはあるのですが、本作で描かれるのはほんのさわりのところで、本作だけでは海江田の意図というのはほとんど分かりません。
まさに導入部分というところなので、本作の評価は本作だけではできないように思います。
次回作ができるかどうかのアナウンスは聞こえてこないのですが、この作品の本当の評価は次回作を観て、ということになるでしょうね。

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2023年10月15日 (日)

「ホーンテッドマンション」記憶にございません

ディズニーランドのアトラクション「ホーンテッドマンション」の映画化作品。
映画になるのは今回が実は2回目で1回目はエディ・マーフィ主演だということなのですが、さっぱり観た記憶はありません。
ディズニーランドのアトラクション自体は子供でも楽しめる程度の怖さなので、本作もその雰囲気は引き続き持っていると思います。
ただ「アダムス・ファミリー」のようなホラーコメディと言えるほどコメディでもなく、エッジが立っているわけでもないので、あまり記憶に残る作品ではありません。
正直言わせていただきますと、前半はすっかり眠気に誘われてしまい、あまりに記憶にございません。
実はこの2作目は当初ギレルモ・デル・トロが脚本・監督を務めることになっていたそうで。
彼の脚本はファミリー向けにしては怖すぎる(そりゃデル・トロだったらそうだろう)ということで、却下になったようですね。
デル・トロ版、ちょっと見たい気がします。
そっちの方が記憶に残るような気がします。

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2023年10月11日 (水)

「名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊」深い愛情ゆえの

ケネス・ブラナー監督による「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」に続くポアロシリーズの第3作目です。
前作2作は過去に映画化もされていますし、小説も非常に有名な作品ですが、本作のタイトルを聞いただけでは私は原作が思い出すことができませんでした。
アガサ・クリスティの作品はほとんど読んでいるのですが。
それもそのはずで原作は「ハロウィーン・パーティ」ですが、舞台もイギリスからベネチアに移したりとかなりいじっているようです。
とはいえ「ハロウィーン・パーティ」も読んだはずですが、内容は思い出せません・・・。
<ここから先はネタバレありです>
この作品には通常とは異なる関係を持つ2組の親子が登場します。
それぞれの親子関係が本作で語られる事件の発端となっているのです。
1組目の親子はフェリエ医師とその息子レオポルドです。
フェリエ医師は一見しっかりしている立派な紳士のように見えますが、過去戦争に従軍医師として行った時に負った心の傷により、時に子供のように不安に駆られることもある不安定さを持っている人物です。
そのような父親を持ったためか、または元々聡明なためなのか、息子のレオポルドはまるで彼が父親かのようにフェリエ医師に寄り添い支えています。
彼らのは時に親子関係が逆なのでは、と見えるようなこともあります。
2組目の親子は本作の舞台となる館の女主人であるロウィーナとその娘アリシアです。
アリシアはすでに亡くなっておりますが、彼女の魂を呼ぶ交霊会をロウィーナが企画し、そこにポアロも招かれるのです。
ロウィーナは娘を愛する母親のように見えるのですが、次第にこの母娘の関係が明らかになっていきます。
アリシアは年頃となり愛する男性ができますが、ロウィーナはそれを認めることができません。
娘を愛するあまり彼女と離れることができなくなってしまっていたのです。
その結果、彼女は娘を殺してしまうこととなったのです。
通常いつかは親は子離れをしなくてはいけないのものですが、ロウィーナはそれができませんでした。
彼女は娘の死を自殺とし、それを隠蔽していましたが、それに気づいた何者かから脅迫を受けます。
その何者かを始末するため彼女は交霊会を行い、そこに訪れた脅迫者を片付けようとしたのです。
ロウィーナは脅迫者と思しき人物を殺していきますが、いずれも本当の脅迫者ではありませんでした。
最後に判明するその正体はなんとレオポルドでした。
聡明な彼は真相に気づき、病気に苦しむ父親を救うために脅迫を行い、お金を手に入れていたのです。
レオポルドは子供ですが、父親の状態ゆえに、強制的に大人にならざるを得なかった子供と言えます。
しかし、彼がそうなったのも父親への愛情ゆえです。
その結果、父親が命を落としてしまったのは、彼にとっては悲劇であったでしょう。
本作で描かれる事件は、このように2組の親子の深い愛情ゆえに引き起こされたものでした。
アガサ・クリスティのミステリーでは、深い愛情ゆえに引き起こされる悲劇がいくつもあります。
その点において、本作も彼女らしさをうまく表現しながらオリジナル作品として仕上げていると感じました。

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