「トランスフォーマー/ビースト覚醒」エモーショナルと派手さのバランス
「トランスフォーマー」シリーズも早いもので第7作目となリマス。
第1作目を見た時は自動車がロボットにガチャガチャと変形するCGに度肝を抜かれましたが、その後はこの手の映像も見慣れてしまい、新鮮味が薄れてしまいました。
シリーズを追うごとにストーリーもスケールアップしていき、いつしか人類置いてけぼりの大風呂敷を広げた状態となり収拾がつかなくなってきた感もありました。
そうなってくるとマイケル・ベイの迫力のある演出もやや大味にも感じられ、食傷気味となったのも事実です。
これは皆が持った印象だったのか、前作ではリブート的な位置付けで「バンブルビー」が公開されました。
こちらの作品はマイケル・ベイ的な派手な演出は抑えられ、少女とバンブルビーの間の友情が描かれるハートウォーミングなジュブナイルとなっていました。
これはこれで非常に新鮮で、新たな「トランスフォーマー」を見せてくれたと思います。
そして本作「ビースト覚醒」ですが、タイムライン的には「バンブルビー」の後のようです。
80年代的であった「バンブルビー」から本作は90年代的な要素を持った作品になっています。
「バンブルビー」は少女とバンブルビーに焦点を絞ったため、従来の「トランスフォーマー」的な派手なアクションは少なかったと思いますが、本作はリブート版の人間とオートボットの繊細な関係性と従来路線の派手さのバランスを上手に取ろうと苦労した感じがしています。
加えて新しい要素として動物型のトランスフォーマーも登場し、描くべき要素は格段に前作から増していると思います。
その苦労は概ね成功しているのはないでしょうか。
主人公ノアとオートボットミラージュの関係性は力を入れて描かれており、クライマックスでの二人のコラボレーションへの納得性を高めています。
後半のユニクロンと人間、オートボット、マクシマルとの戦いは従来の「トランスフォーマー」的な派手さがあり、映像的に見応えありました。
今までの作品でもラストバトルでは、どうしても人間が置いてきぼりになりがちなのを、ノアがミラージュを装着することで回避するというのもなかなかのアイデア。
これがクレジットの時の映像に繋がるというのも興味深かったです。
本作の制作にはトランスフォーマーを販売しているハズプロが入っていますが、ここの主力商品にG.I.ジョーがあります。
「G.I.ジョー」については今までも何度か映画化されていますが、本作で「トランスフォーマー」とクロスオーバーする可能性が示唆されています。
これはマーベル的なユニバースを狙っているということでしょうか。
また風呂敷を大きくして、畳めなくなってしまうという懸念はありますが、期待もしてしまいますね。
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