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2023年7月14日 (金)

「1秒先の彼」ほっこりはんなり

台湾映画「1秒先の彼女」のリメイクとのことですが、オリジナルは未見です。
ほとんど予備知識がなくて、脚本が宮藤官九郎さんということもエンドロールで初めて知りました。
「天然コケッコー」でタッグを組んだ、山下敦弘監督と主演の岡田将生さんということが興味が出ました。
非常にかわいらしく愛おしい気持ちにしてくれる作品です。
岡田さんが演じるハジメは人よりも常にワンテンポ早く動く癖のある男です。
性格的にもあけすけにモノを言うタイプなので、そばにいるとやや気忙しい感じがするかもしれません。
それだからか、ルックスはいいので女性に声をかけられることは多いものの、なぜか結局フラれてしまうことが続いています。
もう一人の主人公は清原果耶さん演じるレイカです。
彼女はハジメとは全く逆で、人より動くのがワンテンポ遅い。
ですので写真が趣味なのに、動くものを撮るのが苦手。
おっとりおどおどしているので、目立つことがない女の子です。
実はレイカは子供の頃にハジメと出会っていて、ある出来事から彼のことを好きでいましたが、大きくなったハジメはそのことをすっかり忘れている様子です。
レイカは言い出すことができず、毎日ハジメの職場である郵便局に通うだけしかできません。
1秒早く動くハジメと1秒遅れて動くレイカ。
本来であればなかなかリズムが合わず、すれ違う二人ですが、不思議な出来事が起こります。
前半はハジメ視点で彼の生活、そして起こった不思議な出来事が語られます。
後半はレイカ視点で語られますが、二人の馴れ初めや不思議な出来事の秘密が語られ、伏線が回収されます。
さすが宮藤官九郎さん、脚本が巧みです。
本作で何が一番良かったかというと、レイカ演じる清原果耶さんでした。
彼女は若いですが、今まで見た作品の中でも演技が上手いなとしばしば思っていました。
本作は前半ではハジメの視界の端っこの方でおどおど動いている感じの存在感の薄い女の子の印象で演じていました。
後半のレイカパートでは、彼女はワンテンポ遅いだけで、意外に思いは強く、そして大胆に行動するタイプであることも明らかになります。
後半である人に向かって「人が大事に思っている人をバカにすんな!」と前半の彼女からは想像できないような強い言葉を吐きますが、それがかえって彼女の思いの強さを表していました。
その後の不思議な出来事の時にも大胆な行動をとるところも意外性がありました。
前半と後半で印象にギャップが出てくる感じが非常に可愛らしいなと思いました。
これがいわゆるギャップ萌えでしょうか。
世間からちょっとズレている二人。
二人とも愛らしく、幸せになってもらいたいと見ていて思える作品です。
きっと見終わったらほっこりした気持ちで劇場を出られると思います。

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