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2023年7月 9日 (日)

「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」老いるインディ

前作「クリスタル・スカルの王国」から15年ぶりの新作となる本作、初めてスピルバーグではなく、別の人物が監督を務めています。
それは「フォードVSフェラーリ」など見応えのある作品を発表しているジェームズ・マンゴールド。
監督が変わったことで、大好きなインディのトーンが変わるのではないかと少しばかり心配はありましたが、それは杞憂に終わりました。
オープニングから冒険に溢れていて、シリーズの名に恥じない作品となっています(なんなら「クリスタル・スカル」よりインディっぽい気がします)。
オープニングは第二次世界大戦終末が舞台となっていますが、そこでは若かりし頃のインディが登場しています。
当然のことながらさまざまな技術を使って、若いインディを再現しているのですが、全く違和感がありません。
カメラの動きなどもスピルバーグっぽく、あの頃の雰囲気を上手に再現しているかと思います。
とは言いながら、本作でメインとなるのは1960年台であり、その頃のインディはすでにリタイアを迎える歳となっています。
溌剌としていた若い頃のインディはすでになく、時代に取り残されそうになっている老人です。
息子を失い、その結果長年連れ添ったマリオンとも別れ、一人で暮らしています。
しかしながら心の中にある冒険心は無くなっているわけではなく、再び彼は冒険に旅立ちます。
ただし、すでに高齢となっているインディですので以前のように動けるわけはなく、主に冒険で派手な立ち回りをするのは、今回彼の相棒となるヘレナです。
彼女はかつて一緒に冒険をした同僚の娘であり、非常に活動的な女性です。
謎を解き、秘宝を狙う敵と競争ながら、遺跡を巡っていく様はかつてのインディシリーズのワクワクした気持ちを思い起こさせます。
やはり「インディ」はこうじゃなくっちゃいけません。
ラストの展開はなるほどと思いましたが、前回よりは納得性の高いものでした。
最後にインディが決断しようとしたことは、年月を経て年老いた彼の気持ちを表しているものであり、切なくもありました。
かつてほど体が動くわけではなく、次第に老いていき、世間にも居場所を見つけられない。
昔が耀ければ輝かしいほどに、忸怩たるものがあるでしょう。
その気持ちが非常に表れており、今までのインディらしい作品でありながらも、本作ならではの個性も持っていました。
本作でハリソン・フォードがインディを演じるのは最後とのこと。
長い間、お疲れ様でした。

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