「アントマン&ワスプ:クアントマニア」「アベンジャーズ」への布石
<ネタバレあります>
MCUのフェーズ5の幕開けとなる作品で、「マルチバース・サーガ」のメインヴィランとなる征服者カーンが登場します。
「アントマン」はこれまでは軽妙なコメディタッチで描かれており、MCUの中でも独特のポジションをとっていました。
本作はターニングポイントとなる位置付けのためか、コメディタッチは抑え気味となっています。
今回舞台のほとんどは量子世界となっています。
前作でのジャネット救出でその一端は見ることができましたが、本格的に量子世界が描かれるのは本作が初めて。
そこはまた一つの宇宙のようで様々な民族のごった煮のような世界が描かれます。
その世界観は「スター・ウォーズ」に通じる感じもしますね。
ストーリーとしても「スター・ウォーズ」を思わせるような展開で、量子世界を支配したカーンに対し、アントマンらと量子世界のレジスタンスが協力して戦う、まるでSF戦争映画のような展開です。
そのためか、ストーリーとしては思いのほか単純であり、驚きはあまりありません。
個人的にはアントマンことスコット・ラングとその娘キャシーの関係をもっと掘り下げて欲しいなと感じました。
スコットが失った娘との五年間に関して葛藤がもっとあるのかと思っていたのですが・・・。
また、サノスのさらに上をいく最強の敵と言われる征服者カーンですが、それほどの凶悪さを感じなかったことも物足りなさを感じたところかもしれません。
本作のカーンはドラマシリーズ「ロキ」で登場した「存り続ける者」の変異体です。
冒頭に書いたようにカーンはアベンジャーズの最新作「アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ」のメインヴィランです。
本作でも非常に強い力を見せつけ、アントマンらを苦しめますが、最後はアントマンとワスプに封じ込められます。
とはいえ、最凶ヴィランとしてはあっけない印象も受けました。
同じ変異体であれば「存り続ける者」の方が不気味さがありました。
「存り続ける者」は初めてマルチバースを発見し、自分の世界以外へ行き来することができるようになった人物です。
その結果、それぞれの世界の彼の変異体は互いに争うようになりユニバース同士の激しい戦いを巻き起こしました。
そのため「存り続ける者」は自分の世界のタイムライン(神聖時間軸)以外を存在させないことにより、世界間戦争防ぐため、TVAを設立したのです。
しかし「ロキ」の最終話で、ロキの変異体であるシルヴィに「存り続ける者」は殺され、TVAも崩壊、そのためマルチバースが存在することになったということが描かれました。
フェーズ4でさまざまなマルチバースが登場したのはそのためです。
「存り続ける者」は一つのタイムラインしか認めないことにより、世界間戦争を防ぎました。
そして本作のカーンは彼がそのほかの世界を全て征服することにより、世界間戦争を防ごうとしたのです。
しかし、彼はアントマンらによって封印されました。
「アベンジャーズ」の「インフィニティ・ウォー」「エンドゲーム」の驚きのある展開に対して、物足りなさを感じたわけです。
しかし、それは最後のポストクレジットで翻りました。
本作のカーンを量子世界に追放したのは、他のカーンたちだったのです。
無数のユニバースに存在する無数のカーンたちがある場所に集まっています。
そこにいるのはカーンのみ。
彼らを取り仕切っているらしい幹部たちも全てカーンの変異体です。
彼らはまるで一つの国家のよう。
まさにカーン・ダイナスティ(カーン王朝)です。
アベンジャーズが戦うのは、一人のカーンではなく、無数のカーンの変異体なのでしょう。
たった一人のカーンですら、手こずらざるを得なかったわけですから、それが無数となった場合は、非常に難しい戦いになることが想像できます。
確かに、カーンは最凶ヴィランであると、頷けました。
本作はカーンという最強の敵を印象付けるための壮大な前振りという位置付けになったような印象です。
そのためか作品としては少々物足りなさを感じました。
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