「モリコーネ 映画が恋した音楽家」二人のモリコーネ
エンリコ・モリコーネ。
この作品の中では、多くの人から映画音楽は彼がいなければ現在のような形にはなっていなかったと言われているほどに偉大な映画音楽の作曲家です。
彼が映画音楽を手がけるようになって多く知られるようになったのは、マカロニ・ウエスタンからのようですね。
この時期は私がまだ幼い頃だったので、彼の音楽を意識してはいなかったと思います。
しかし劇中で流される音楽はどれも聞き覚えのある印象強い音楽ですね。
私が個人的に印象的なのは、「ニュー・シネマ・パラダイス」と「アンタッチャブル」でしょうか。
ちょうどこれらの作品が公開された時期は大学生の頃で、多くの映画を浴びるように観ていた時期でした。
「ニュー・シネマ・パラダイス」は今でもこのテーマを聞いただけで、涙腺が刺激されるような感覚があります。
作品自体と一体となり、聞くたびに懐かしくも切ない気持ちがになります。
自分にとって大切なものを大切にしていきたい、という思いにさせてくれる曲なんです。
「アンタッチャブル」の劇中曲は聴くだけで、その曲が使われている場面が思い浮かびます。
オープニングタイトルの不穏な感じで緊迫感のある曲はそれから語られる物語を予感させますし、マローンが死ぬ場面で流れる音楽も抒情的でした。
この曲のメロディは「ニュー・シネマ・パラダイス」に通じるような彼らしいものだと思います。
「アンタッチャブル」のテーマは私は勇気がもらえるイメージがあり、よくここぞというときに聞いていました。
本作を見ると、ご本人はあまり推していなかったようですが(笑)。
私のモリコーネの印象はとてもメロディが美しいというものですが、ご本人はメロディは好きではないと言っていたので驚きました。
若い頃は非常に実験的な表現にもトライしていていたのですね。
メロディを否定してトライをしながらも、彼の中ではメロディが鳴っている。
また彼は非常に論理的に音楽を構築しています。
しかし、彼は物語から直観的にそこに相応しい音楽を生み出すことができます。
論理性と直観、全く違うアプローチですが、それが彼の中には同居していたのですね。
二人のモリコーネという言葉が出てきたと思いますが、彼の中で全く違うものの見方が同居し、融合して素晴らしい音楽を生み出してきたのですね。
最後に彼自身も、室内楽を目指したい自分と映画音楽を産んできた自分がどこかまでは対立していたようですが、晩年はそれが融合してきたと言っていました。
本作を見て、私が見ていない彼の作品も見てみたいと思いました。
持っている彼の曲もまた聴きたくもなりました。
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