「奈落のマイホーム」コメディ・ディザスタームービー
「犯罪都市」を見たときに、予告にかかっていた作品でして、それまでは全く予備知識なし。
マンションが住民もろとも巨大な陥没穴(シンクホール)に落下してしまい、そういった極限状況での住民たちのサバイブを描いた映画と見受けました。
マンション丸ごと巨大な穴に落下とは荒唐無稽とは思いましたが、韓国ではシンクホールはこの作品で描かれた程ではないにせよ、割と頻度高く発生しているとのこと。
日本ではあまりシンクホールは発生していませんが、東京で高速道路の地下工事の影響で大きな陥没穴ができたというニュースはありましたね。
予告だけの前情報だったので、見る前は「タワーリング・インフェルノ」的なディザスタームービーかと思っていました。
見始めるとちょっと勝手が違う。
主人公は新築のマンションを購入したサラリーマン。
韓国のソウルはマンションの値上がりがものすごく(前政権でもかなり問題になりました)、普通の人がなかなか手が届かない状況になっています。
ですので、住宅購入は人生の中でもかなり思い切ったイベントとなります。
シンクホールが発生する前の前半パートは割と長めで、主人公の同僚たちや住民たちのやりとりが描かれます。
それはかなりコメディタッチで、クセの強い登場人物たちが笑いと共に丁寧に描かれます。
この時点で私はこれはディザスター映画ではなく、それをネタにしたコメディだったのか、と思い始めていました。
しかし、後半シンクホールが発生してからは、次から次へと発生する問題に対し、住民たちが必死で対応していく様が描かれます。
これはまさにディザスタームービー。
自分勝手であった登場人物たちが、生き延びていくために、次第にその人の本質である善良さ、勇気、思いやりが露わになっていきます。
この手のディザスタームービーでは、人間の悪いところが明らかになっていくパターンが多いですが、その逆であることが新鮮でした。
頼りなさそうな平凡な主人公は息子を助けるために、単身マンションの下層へ進んでいきます。
クセが強かった隣人は、意外にもタフで、自分の身を犠牲にして皆を守ろうとします。
普段の生活からは見えないその人が持っている善良さ・勇気が彼らにパワーを与え、皆が協力してサバイブをしていきます。
前半でコメディ的に住民たちが描写されましたが、それが後半効いてきます。
後半も隙あらば、コメディは入れ込まれており、緊張感と笑いが交互にくるので見ていて飽きません。
思わぬ拾い物の作品でありました。
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