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2022年6月 4日 (土)

「トップガン マーヴェリック 」前作へのリスペクト溢れる

社会現象ともなった「トップガン」から35年以上経っての続編の公開です。
当時私は高校生で、もちろん「トップガン」にはハマりました。
本物の戦闘機F-14トムキャットを使った空中戦のシーンにはまるでコクピットにいるかのような感覚になりましたし、ドラマ自体は複雑ではないので高校生的にも分かりやすいながらも、最高峰を目指すパイロットたちの戦いと友情に胸熱になったものでした。
自分のミスによる事故によって親友でありバディでもあるグースを失い、打ちひしがれる主人公マーヴェリックは、ライバルであるアイスマンや恋に落ちる女性教官チャーリーに支えられ立ち直ります。
今考えると非常に少年漫画のようなキャラ設定ではありますが、だからこそ分かりやすく皆に受け入れられたような気がします。
そのような非常に思い入れの強い作品の続編(特にすごく前の作品)は、自ずとそのハードルが上がっていきます。
また新解釈などにより、自分が好きであった部分が変わってしまうことへの心配などもあります。
しかし、本作では海外評もかなり絶賛であったので、ひとまず安心しておりました。
そして鑑賞してみると、前作へのリスペクトあふれ、そしてさらに映像表現は超えてくるものとなっておりました。
まず、オープニングで製作会社のタイトルが出るところで驚きがありました。
ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーとなっています。
この二人は当時のプロデューサーですが、ドン・シンプソンは既に亡くなっているため、現在はジェリー・ブラッカイマーしか名前が出てきません。
しかし、本作に限って今回は当時のまま二人の名前が入っています。
そしてオープニングですが、夕方での空母での戦闘機の離着陸シーンから始まります。
BGMはもちろん「Danger Zone」。
戦闘機はF-14からF/A-18となっているものの、アングルなども当時と同じようなところを狙っていて、見ていると一気に「トップガン」の世界に戻っていきます。
このオープニングによって、今回の製作陣が前作に対して非常にリスペクトを持っていることを感じさせてくれました。
前作へのオマージュを感じるシーンは他にもいくつもありました。
トムがカワサキのバイクで疾走するシーン、ビーチで戦闘機乗りたちがアメフトをするシーン(旧作はビーチバレーでしたが)、バーで海兵たちが歌を歌うシーンなど。
特にバーで海兵たちが歌うシーンは印象的でした。
前作ではマーヴェリックの相棒であったグースがピアノを弾きながら歌う曲を今回は、その息子であるルースターが同じように歌っているのです。
そのシーンに前作のシーンがフラッシュバックのように重なります。
その時のマーヴェリックが感じている気持ちを見ている我々も同じように感じることができるシーンでした。
前作と同じようなシーンが重なると、ただなぞっているだけにも見えかねません。
しかし本作はマーヴェリックが過ごしてきた年月を感じることができます。
それがマーヴェリックとルースターの関係性です。
マーヴェリックは父親を奪ってしまったという負い目を感じ、ルースターを危険からなるべく遠ざけようとしてきました。
しかし、それはルースターが望むことではなく、それにより彼らの関係はギクシャクしたものとなっていました。
それはまさに疑似的な親子関係のようなものであり、本作は父が息子を認め、息子も父に対して改めてリスペクトを持つという、関係性修復の物語でありました。
それは前作にはない要素で、ただなぞっているわけではないという点です。
この二人の関係性は前作を見ている者からすれば非常に納得できるもので、新たな要素でありながらも心から受け入れられ、共感できるものでありました。
当時見ていた我々の多くが親になっているからかもしれません。
35年経っての新作ということへの納得性がある素晴らしいストーリーであったと思います。

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