「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」 まさにマッドネス、まさに狂気
「ノー・ウェイ・ホーム」でマルチバースの扉を開けたドクター・ストレンジが本作では狂気のマルチバースに本格的に挑みます。
監督は「スパイダーマン」3部作の巨匠サム・ライミ。
本作について言えば「死霊のはらわた」のサム・ライミと言った方が相応しいかもしれません。
事前よりMOMはホラーテイストがあると言われていましたが、中盤の「追っかけ」はほぼホラーです。
追っかける「あの人」は顔面血まみれで「キャリー」っぽいですしね。
前作の「ドクター・ストレンジ」も映像表現的にはミラーディメンションなどかなり個性的な表現を攻めていましたが、本作はさらにダークで狂気的な映像となっていました。
この辺りもサム・ライミのセンスが現れているところなのでしょう。
今までもフェイズ4のMCUでマルチバースに触れたのはテレビシリーズの「ロキ」、「ホワット・イフ」、そして映画の「スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム」ですが、それらで起こった出来事と本作の事件は直接的な因果はありません。
本作の出来事の発端となるのは新キャラクターのアメリカ・チャベスです。
彼女は生まれながらにしてマルチバースを渡る能力を持っています。
本作において彼女の背景についてはあまり多くは語られません。
今後のMCUの中で語られていくのでしょうか。
「ホークアイ」で登場したケイト・ビショップ、また公開待たれる「ミズ・マーブル」ら若手のキャラクターたちと今後絡んでいくようになるかもしれませんね。
ドクター・ストレンジについてはトニー・スタークやキャプテン・アメリカなき今、指導者的役割を背負うことになるかと思いますが、本作でも描かれているように彼は一人でことを成し遂げようとする傾向がありました。
しかし、アメリカとの出会いにより、人を信じ、育て上げることに目覚めたようにも感じます。
スタークとピーターのような指定関係が、ストレンジとアメリカの間でも築かれていくような予感はありますね。
さて、これ以上はネタバレなしで書くのが難しいので、ネタバレ全開でいきます。
<ここからネタバレあり>
本作でヴィラン的な立ち位置になるのはなんとワンダ=スカーレット・ウィッチです。
ここにはちょっと驚きました。
「ワンダヴィジョン」で彼女は真の「スカーレット・ウィッチ」としての能力に目覚めした。
そして物語のラストで彼女が手にしていたのは禁断の書「ダークホールド」。
「ダークホールド」の影響により、ワンダは子供を失った悲しみ(彼女が創造したものとは言え、彼女にとっては本物の子だった)から歪んだ願望を増幅させてしまい、恐ろしいスカーレット・ウィッチに支配されてしまっていたのです。
失った子供を取り戻したいという親の気持ちは誰でも共感できるものですが、世界最強の力を持つと言われ、かつ現実を改変する能力もある彼女が暴走した時、世界そのものが失われる危険性が出てきたのです。
結果、彼女は自分の過ちに気づき、その元凶となった「ダークホールド」の原本もろとも滅びようとしました。
暴走するほどに彼女が追ってしまった悲しみ、双子の兄、愛する夫、かけがいのない息子たちを失った悲しみはいかに深かったか。
世界を破壊しそうになったことを収束させるためとは言え、ワンダが悲しみを背負ったまま退場したのは非常に切なかったです。
しかし史上最強の魔女である彼女ですから、いつかまた登場することを期待したいです。
「ワンダヴィジョン」で登場した魔女アガサについては、ドラマの方で新作が作られるということですので、そちらでの登場を期待したいです。
そういえば「ダークホールド」については「ワンダヴィジョン」に登場した時にちょっと驚きました。
以前ドラマの「エージェント・オブ・シールド」を見ていた時にも登場していたからです。
本のデザインは全く違っていました。
私は未見ですが、別のドラマである「ランナウェイズ」(これもMCU)にも「ダークホールド」が登場していたようです。
MCUに「ダークホールド」が3冊?
ちょっと変だなと思っていましたが、本作を見て納得がいきました。
本作のラストでワンダが破壊するのは「ダークホールド」の原本です。
その前にワンダが持っていた本はその写本とのことでした。
つまり「エージェント・オブ・シールド」や「ランナウェイズ」に登場していた「ダークホールド」も別の写本と解釈することはできますね。
最後にあの方々「イルミナティ」です。
コミックの「イルミナティ」とはストレンジたちも参加するヒーローのチームとのこと。
予告編で「X-MEN」のチャールズ・エグゼビアらしき人物が映っていたため、その登場が噂されていました。
結果的にはMCU世界での「イルミナティ」ではなく、他のユニバースでの「イルミティ」でしたが。
そのメンバーはなかなかのものでした。
まずはすでに名前を出したチャールズ・エグゼビア。
演じるのはパトリック・スチュワートで、オリジナルの「X-MEN」からの登場です。
この辺は予想通り。
続いてはキャプテン・カーター。
アニメ「ホワット・イフ?」で別のユニバースでスティーブの代わりに血清をペギー・カーターが打ち、超人兵士となったのがキャプテン・カーターです。
こちらも「キャプテン・アメリカ」でペギーを演じていたヘイリー・アトウェルが演じています。
実写でキャプテン・カーターが見れるとは!
驚いたのはブラックボルトです。
このキャラクターはドラマ「インヒューマンズ」に登場したインヒューマンズの王です。
ちょうど私は「インヒューマンズ」を見ていたところだったので知っていましたが、多くの人には馴染みがないかもしれません。
「インヒューマンズ」はたった1シリーズで不幸にも打ち切りとなってしまいました。
マーベルテレビジョンとマーベルスタジオのゴタゴタのせいかもしれません。
最近マーベルスタジオはマーベルテレビジョン制作のMCU作品についても積極的に取り込もうとする姿勢があります(「デアデビル」に登場したキャラクターが再登場するなど)。
その傾向の一つかもしれないですね。
キャプテン・マーベルはキャロル・ダンバースではなくマリア・ランボーになっていました。
これも「ホワット・イフ?」的な「もしも」でしょうか。
この宇宙ではキャロルがSWORDを立ち上げているかもしれません。
そしてミスター・ファンタスティック。
言わずと知れた「ファンタスティック4」のリーダーです。
演じていたのはジョン・クラシンスキーで、今まで何作か作られた「ファンタスティック4」でミスター・ファンタスティックを演じた方とは違います。
「ファンタスティック4」は今後MCUで作られることが決まっていますが、そのままジョン・クラシンスキーでいくのかはわかりませんね。
最後はマスター・モルド。
彼は「ドクター・ストレンジ」で袂を分かったモルドとは別人です。
ですので、あのモルドは本作には一度も出ていません。
今後あのモルドはストレンジに絡んでくることはあるのでしょうか?
あとミッドクレジットで出てきた人物。
びっくりしました、シャーリーズ・セロンじゃないですか!
彼女が演じているのはクレアというキャラクターらしいです。
今後も何か波乱がありそうですね・・・。
ざっと見ただけでも色々見るべき点がある本作。
まだまだネタがあるかもしれません。
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