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2022年1月 3日 (月)

「マトリックス レザレクションズ」 今の時代にこの物語を語る意味とは?

こちらの作品、昨年末には見ていたのですが、レビューが年明けとなってしまいました。
「マトリックス」と言えば20世紀末に突如登場し、その後の映画へ大きな影響を与えた作品です。
サイバーパンク的な世界観、バレットタイムをはじめとする斬新な映像表現、カンフーを現代的に取り入れたアクションなど革新的と言っても良いでしょう。
同様な世界観としては押井守監督の「攻殻機動隊」が先行してきましたが、実写での電脳世界の表現に、私も初めて劇場で見た時は衝撃を受けました。
ただ1作目から受けたインパクトが大きかったせいか、その後に続く「リローデッド」「レボリューションズ」にはそれほど強くは心動かされることはなかったのも正直なところです。
1作目は「マトリックス」が描く世界をどう受け止めるのかという葛藤があったように思います。
その世界の謎も全ては明らかにはなっていなかったということもあるかもしれませんが、その葛藤が作品の力でもあった様に思います。
2作目、3作目はマトリックスの世界の種明かしをしているわけで、納得度が上がるほどに印象はこじんまりとしていく様な感じがしました。
そして本作「レザレクションズ」です。
レザレクションとはresurrectionで「復活」という意味があります。
「マトリックス」という作品が「復活」ということもありますし、主人公ネオが再び「復活」するという意味もあるのでしょう。
タイトルは複数形になっていますが、これは複数の復活があるという意味で、それはネオだけではなく、もう一人(トリニティ)の復活もあるということを表していると思われます。
肝心のストーリーですが、今なぜ「マトリックス」の新エピソードを語るのかということがわからなかったというのが正直なところです。
ストーリーにしても、映像表現にしても「マトリックス」らしいとは思うものの、1作目を超えてくるという印象にはなりませんでした。
同じ様なことを再生産しているのように受け取れました。
20年経って新たに語ろうとする場合、今の時代を何かしら反映したものであってほしいと思います。
1作目はインターネットが普及し始めた頃に語られた物語で来たるべき未来を予想したものでありました。
それからサイバーな世界はより現実と深く結びついている状況で「マトリックス」として何を語るのかということを期待していたわけですが、物語として大きな進化は見られませんでした。
そこが残念です。
映像表現としてもその後の作品が「マトリックス」を目標として、それを越えようとしてきた20年間で、明らかに古典的に見えるような表現になってしまった印象です。
偉大なシリーズの続編には、その時代に合わせたメッセージというものを含んでいってほしいと思いました。

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