「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」バディムービーとして正統進化
大ヒットした「ヴェノム」の続編となる作品でアンディ・サーキスが監督しています。
ヴェノムは元々はコミックでスパイダーマンの敵役として登場しましたが、「ヴェノム」では映画の「スパイダーマン」とは全くリンクがない形で登場した独立した作品でした(過去形)。
サム・ライミの「スパイダーマン3」ではヴィランでしたが、スパイダーマンの暗黒面を持っているような複雑な存在でありました。
そのイメージもあり初回登場時もダークヒーローのイメージで鑑賞しましたが、このヴェノムは思いのほかユーモアもあり、人間味のあるキャラクターとなっていました。
そういう点では個人的には期待とは違っていたのですが、主人公エディとヴェノムの掛け合いはいわゆるバディムービーのような軽妙さがあり、その点が多くの人に受け入れられjヒットしたのではないかと思います。
最近のヒーロームービーは長尺化が進んでいますが、2時間以下と見やすい尺であったのも要因の一つですね。
続編である本作はその様な前作のヒット要因を踏まえて作られているように思いました。
2作目ということでエディとヴェノムの掛け合いも磨きがかかっています。
こういうバディムービーは正反対の性向の二人が組み合わさるほどに面白くなりますが、ヴェノムの粗暴ながらも愛嬌があるキャラクターの魅力が増していている点がよかったですね。
主人公のエディより存在感があるかもしれません。
映画の尺は前作よりもさらに短く1時間半強くらい。
そのためサクサク展開進みますし、複雑さもありません。
最近の複雑な映画に慣れている身としては、ちょっと物足りなさを感じるところもなくはないのですが、あまりこの手の映画を見ない方には受け入れやすいかもしれません。
個人的には敵役二人はもう少し踏み込んで描写してくれた方がより魅力も増したかなと思いました。
いい俳優を当てているのでちょっともったいないですね。
ラストのバトルは大きな音に弱いというシンビオートたち特徴を踏まえたもので、目まぐるしく変身と解除が変わっていく状況で目新しかったです。
<ここからネタバレあり>
この映画で何が一番びっくりしたって、エンドロール中のマーベル映画では恒例のおまけ映像です。
ここで今まで独立している物語であった「ヴェノム」がMCUの「スパイダーマン」にリンクする可能性が示唆されました。
1月に公開される「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」ではマルチバースが本格的に物語に組み込まれ、サム・ライミ版やマーク・ウェブ版の敵キャラ(グリーンゴブリンや、ドクター・オクトパス、エレクトロなど)が登場することがわかっています。
ヴェノムは冒頭に書いたように「スパイダーマン3」に登場はしていますが、本作のヴェノムとは設定が違います。
「ヴェノム」にはスパイダーマンが存在しているような描写はありませんでした。
しかし、本作ではおそらくドクター・ストレンジの秘術によりマルチバースが交差し、本作のヴェノムがMCUの「スパイダーマン」の世界に来てしまったらしい状況になっている様です。
「ノー・ウェイ・ホーム」で実際にヴェノムが登場するかどうかはわかりませんが、いずれどこかで接点が設けられるようになるのでしょう。
MCUでは叶わなくとも、ソニーが進めようとしている「スパイダーバース」の中では十分ありそうです。
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