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2021年11月28日 (日)

「信虎」歴史オタクによる趣味映画

スルーする予定だったのですが、ネットの記事で三谷幸喜さんが褒めてるらしいことを知り、見に行きました。
信虎とは武田信玄の実父であり、息子に故郷を追われた男です。
今までも大河ドラマなどで登場人物として知ってはいましたが、主人公として描かれるのはあまり聞いたことはありません。
そういう点でも興味が湧きました。
また監督が実績のある金子修介さんでもある点も安心材料でした。
が、正直言って鑑賞するのが苦行のような作品でした。
物語は信虎が息子信玄が死んだことにより武田家の存亡の危機と知り、故郷甲斐へ帰還しようとしたところから始まります。
そこから彼の歩みを追っていく展開となるのですが、粛々と物語が進んでいくため、起伏に欠けます。
本作は歴史研究を趣味とする古美術商の方が共同監督・脚本・編集など多くのポジションで関わっており、そのためかマニアックに細々と様々な人物や歴史的な出来事が詰め込まれていて、脚本も編集も非常に流れが悪い。
普通だったらバッサリ切ってしまうような部分も入っているので、まるで素人の作品を見ているような印象を受けました。
あまり金子監督の手が編集には入っていないのではないか、と思ってしまったりします。
歴史オタク的な人が見ると、こんな人物も出ているとか、こんなトピックにも触れているとか楽しむところがあるのかもしれないですが、一般的な観客にとってはちょっとマニアックな感じもしました。
最終盤では信虎のサイキック(?)な能力なども現れ、これは伝奇ものか?と思ったりもして、ちょっとチグハグな感じも受けました。
結果2時間15分にも及ぶ長尺の苦行となってしまいました。
本作は江戸時代武田家復興に力を貸した柳澤保明が語り手となっており、その息子が聞き手となっています。
その息子は保明の話を聞いてあまりの長さにうたた寝をしてしまうという描写がありましたが、私が唯一共感できたのがこの息子でした。
久しぶりに早く劇場を出たいと思った作品です。
三谷さんがどこを評価したのかが全くよくわかりません。

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