「DUNE/デューン 砂の惑星(2021)」壮大なプロローグ
デイヴィッド・リンチの「DUNE」が公開されたのは自分が高校生の頃だったと思います。
すでにその頃はSF好きではあったので、「DUNE」の存在は知っていましたが、高校生には独特のセンスを持つデイヴィッド・リンチの敷居は高かった。
品の評判も芳しくなかったため、結局見ずじまいになっていました。
その頃の評価としてはまとまりがないということだったと思いますが、作品のボリュームが多く、「映画化不可能」の作品と言われていたことも後で知りました。
なので「DUNE」というと個性的であり、難解なイメージが自分の中でできてしまいました。
そして今回再び「DUNE」の映画化にトライしたのはドゥニ・ヴィルヌーブです。
監督をドゥニがやることを知った時、私はしっくりとした感じがしました。
書いたように私の中では「DUNE」はSF映画と言っても「スター・ウォーズ」のような万人受けするタイプではなく、よりマニアックで個性的なイメージがあったからです。
ドゥニは今までの作品でも彼独特の映像センスと難解さを持っているように感じていて、それはデイヴィッド・リンチにも通じるように思います。
「複製された男」も「メッセージ」も好きな作品です。
今、SF作品も非常に大衆的な作品が多いですが、これらは非常にハードなSFらしい作品でした。
また、「ブレードランナー」の続編も成功させており、デイヴィッド・リンチよりは一般受けするようなバランス感覚は持っていると思います。
ですので、個人的には非常に期待しておりました。
公開されてしばらく経っていますが、日本での評価はイマイチなようです。
個人的には嫌いではありません。
今までの作品同様にドゥニの乾いたような硬質な映像のテイストは他の監督にはないものであったと思います。
後半で物語が動き始めたところは続きが見てみたいという気持ちを起こさせました。
しかし、如何せん前半が非常に重い。
おそらくここが「DUNE」を「映画化不可能」と言わせているところだと思います。
まず物語の舞台となる世界の状況を観客に理解させるまでに非常にエネルギーを使わなければなりません。
「スター・ウォーズ」などはあの世界の状況をわからなくても、主人公の周りで展開される物語を追っていけば十分楽しめます。
オープニングのタイトルのところで状況説明をさらっとやって済むわけですね。
ですが、本作の場合は主人公自身がこの世界の状況に対して深く関わっていくため、状況がわからないとなかなか主人公の気持ちなどが理解しにくくなってしまいます。
おそらくデイヴィッド・リンチ版はこの辺がまとめきれなかったのではないかと思われます。
本作では物語の破綻は起こっていなかったと思いますが、その分、前半はなかなかストーリーが展開せず非常に重いバランスになってしまっていると思います。
本作は「DUNE」のプロローグで終わってしまったという印象は少なからずあります。
その辺りが低評価につながってしまっているのではないかと思います。
ファストムービーなどと言われているように、長い時間を映画を見ることに耐えられない人が多くなっているのかもしれません。
個人的にはドゥニらしい映像を楽しめましたし、後半の展開は続きを期待させるところもあり、悪くないと思いました。
Part2の製作は決定したということなので、そちらを期待したいと思います。
ドゥニの「DUNE」はPart1だけで判断するのではなく、Part2まで見たところで評価すべきではないかなと思いました。
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