「妖怪大戦争 ガーディアンズ」 あまりにいい子
2005年に公開された「妖怪大戦争」の続編で、同じく三池崇史監督です。
前作も個人的には高い評価とは言い難かったのですが、本作についても同様の印象です。
それでも前作は主人公の少年が成長していく過程が描かれているので共感性はあったのですが、本作の主人公ケイとその弟ダイはあまりにいい子であって隙がありません。
ケイは妖怪に攫われた弟のために後を追いますし、その道程で自分を襲ってきた鬼に対しても寛容な姿勢をとります。
弟のダイも兄を助けるために、恐ろしい大魔神を目覚めさせるための贄になろうとします。
あまりに出来すぎた子供たちなので、愛するための隙がなく、彼らの存在こそがファンタジーな感じがしてしまいました。
心清き二人の兄弟がある意味全ての出来事に対してのワイルドカードのように都合よく使われている感じがしました。
都合の良い感じがしたのは、全体的に盛り込まれた要素が多く、そしてそれらがうまく物語の中で構成されているような気がしなかったことによるかと思います。
収拾できずに、彼らの清き心によって鎮まったという形で全て収めているような印象でした。
東京を目指す妖怪獣に対抗するのは、兄を思うダイの心によって目覚めた大魔神です。
そしてその大魔神が暴走した時には、弟を庇うケイの行動により、大魔神は鎮まりました。
ファンタジーですから、この点についてあまり言うのもなんなのですが、安易さは禁じえません。
目覚めた大きな力を利用して、首都東京を破壊すると言うプロットは、本作でも製作者に名を連ねている荒俣宏さんの「帝都物語」でも繰り返し出てくるものです。
首都破壊を目指すのは日本の先住民族の末裔である加藤保憲です。
彼は国を奪われた者たちの恨みにより生きながらえ、天孫へ恨みを持ちつつ関東で首を刎ねられた将門を目覚めさせ、その絶大なる力により、東京を破壊しようとするのです。
本作もまさにその繰り返しではあるのですが、今回の東京壊滅を行うものが妖怪獣という存在であることがちょっと迫力不足でした。
オープニングで説明されたように妖怪獣は日本が海だった古代に陸地で化石になった海の生物たちが海へ戻りたいという気持ちによって生み出されたものらしい。
今までの「帝都物語」と比べると、あまりに弱々しい。
もっと禍々しさのようなものがあってもよかった。
またこのプロットでは加藤の存在が欠かせないような気がしていたが、最後の最後に登場してきた。
ファンサービスのような感じではあったが、どうせ出すならもっと物語の中心にしっかりと絡んだ出し方をしたほうが断然面白くなるような気がしました。
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