「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」 クロスオーバーゆえの味の薄さ
通常「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」の夏映画はそれぞれ単独の作品の同時上映というフォーマットですが、今回は仮面ライダー放映50周年、スーパー戦隊45作品目という節目であることから、両シリーズのクロスオーバーとなっています。
両シリーズのクロスオーバーは本作が最初というわけではなく、2012年の「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」で実現されています。
「スーパーヒーロー大戦」のときも感じたのですが、大勢のヒーローが出てくるこのようなクロスオーバー作品は、個々のキャラクターの掘り下げは浅くならざるを得ず、さらに過去のキャラクターも扱いが乱暴になる感(登場するだけ)もあり、やや物足りなく感じるところがあります。
本作についても同様の印象を受けました。
「スーパーヒーロー大戦」との違いを出すためか、本作では両シリーズの第一作の原作者である石ノ森章太郎をキーマンとして登場させています。
そのため、全体的にメタな要素も盛り込んでいる作品となっていますが、これは「ビルド」と「ジオウ」のコラボ作品である「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」でも取り入れている視点であり、目新しさは感じませんでした。
クロスオーバーを成立させるための苦肉の策のような印象です。
お祭り映画自体を否定するわけではありませんが、作品として見るとどうしても薄っぺらくなる感じがしてしまいます。
子供としては嬉しいとは思いますけどね。
長年両シリーズのファンである身としては、しっかりキャラクターを深掘りした作品の方が楽しめます。
昨年の「ゼロワン」の単独映画は良かったので、ああいう感じが好きなんですけどね。
最新シリーズの「仮面ライダーセイバー」は終盤に至るも、個人的には物語になかなか浸かることができず、世間的にも同様の評価なので、単独作品としてはキツいという判断もあったのかもしれません。
「セイバー」の評価が苦しいのは、描かれている物語が「仮面ライダー」でなくてもできるのではないかということではないかと思います。
この作品には「仮面ライダー」の要素がものすごく薄いのではないかと感じています。
物語は自由であるのはもちろんなのですが、「仮面ライダー」である意味も持っていて欲しいものです。
本作のおまけとして次回作の「仮面ライダーリバイス」の短編映画の上映がありました。
例年に比べ新作の情報があまりでてこないので、どうしているんだろう?と思っていたところでのサプライズ上映でした。
本作では主役の仮面ライダーが2人います。
仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイス、合わせてリバイスということですね。
2人で1人の仮面ライダーである「仮面ライダーW」とは異なり、今度は1人で2人の仮面ライダーです。
面白い発想だなと思いました。
デザインはちょっとギョッとしましたが、それはいつものことなのでいずれ慣れているのでしょう。
ちょっと期待しているポイントとしては脚本が木下半太さんであることですね。
木下さんは「悪夢」シリーズなどの小説で有名ですが、私も愛読しています。
この方の作品は後半に驚くようなどんでん返しが設定されていること、登場するキャラクターの存在感がものすごく強いことが特徴だと思います。
いずれにしてもそのような特徴が「リバイス」で出されてくると、画期的な物語が展開されるのではないかと思います。
こちらについては9月からの本放送に期待したいです。
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