「フリー・ガイ」 思いの込められたプログラム
私は映画を見に行くと必ずパンフレットを買う派なのですが、本作はパンフレットを作っていないとのこと。
非常にマイナーな作品の場合にパンフレットがないというはありますが、このくらいの規模の作品でないのは珍しい。
これってディズニー(20世紀スタジオは今ではディズニー傘下)のコロナ禍における劇場での公開方針が定まっていないことの余波かもしれません。
「ブラック・ウィドゥ」は劇場公開と同時にディズニー・プラスでも配信したため、大手の劇場(東宝系や東映系など)が公開を見送りました。
アメリカでは公開週はこの方法でかなりいい立ち上りではあったが、2週目以降は成績は落ちていったという話もあります。
そのためかディズニーは本作と「シャン・チー」は劇場公開後45日間は配信しないという方針に変更しました。
本作は元々「ブラック・ウィドゥ」のように劇場公開はあまりしない方針だったのかもしれないですね。
なので、パンフレットは作らなかったのではないかと思いました(「ブラック・ウィドゥ」はパンフありましたが、これは昨年作っちゃっていた在庫かも)。
「シャン・チー」はパンフ作ってくれるよね・・・?
映画そのものの話から逸れてしまいました。
この作品の主人公はモブキャラのガイ。
モブキャラというのはゲームの中の背景キャラのことで、ゲームの中でいつもその場所に行くと同じセリフ・リアクションするキャラっていますよね、あれです。
しかし、ひょんなことからそのモブキャラが自我に目覚め、憧れの女性に再び会うために、自ら行動を起こします。
ガイが存在しているゲーム「フリー・シティ」はオープンワールド系のゲームで、プレイヤーはゲーム内で好きなことをなんでもできます。
このゲームでは銀行強盗したり、人を倒したりすることでポイントが稼げるらしい。
そんな中でガイは人助けなどの「いいこと」をしていってポイントを稼ぎ、レベルを上げ、「フリー・シティ」のプレイヤーの間でも評判のヒーローとなっていきます。
自分がやりたいと思うことをやっていくことは意外と難しい。
「フリー・シティ」のベースとなるAIを開発したキーズは、自分が書いたプログラムを商品化したアントワンに雇用され苦情処理係の立場になっています。
その立場を仕方がないと受け入れてしまっている様子。
対してキーズの共同開発者であるミリーはアントワンに対し、盗用していると訴えていました。
ガイには実はキーズの想いが込められていました。
キーズがずっとミリーに抱いていた想いをガイのプログラムに書き込んでいたのです。
そのため、ガイはミリーのアバターにゲーム内で出会った時、運命のように感じたのでした。
ただのゼロイチのプログラムの中に想いが込められていて、それがきっかけでAIが自我を持ってしまうという設定が素敵だなと思いました。
映画でAIが自我を持つというと、殺伐な未来であることが多かったりしますが、想いをベースにしたAIだったらそんな暗い未来ではなく、本作のようなハッピーな世界ができていくかもしれないですね。
本作は元々20世紀フォックスで企画が進んでいましたが、ディズニーが買収した後も20世紀スタジオとして制作が継続されました。
それによりマーベルやルーカス・フィルムとも兄弟会社となったため、いくつかファンに向けてのサプライズがありました。
終盤ガイがピンチの時にアイテムとして「キャップの盾」を選択しますが、それと同時に「アベンジャーズ」のテーマが。
続いてカメオ出演のクリス・エヴァンスが「僕の盾?」という展開です。
さらには続いてガイが選んだアイテムはライトセーバー。
ここでも「スターウォーズ」のテーマが流れます。
何も関係ないと権利関係で難しいところですよね。
嬉しいサプライズでした。
あとガイが最後に橋を渡ろうとした時にかかる音楽が「アメリカン・ヒーロー」のテーマ。
80年代のアメリカのドラマですが、私は大好きでよく見ていました。
これは偶然手にしてしまったスーパースーツの力で、人々の平和のために頑張るしがない高校教師のお話なのですが、ガイに通じるところもあるので、これを選んだのかなと思いました。
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