「ゴジラVSコング」共通の敵
前作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」のレビューで、本作についてちょっと触れていました。
ゴジラは地球の守護者であって、人類の守護者ではない。
対してキングコングは人類と感情的なふれあいを持つ、人類の守護者という立ち位置である。
ゴジラとキングコングが戦うのは、人類が地球に対して害をなそうとした時に、彼らの立ち位置の違いによって生じるのではないかと。
これはあながちハズレではなかったですね。
モンスタバースに存在する巨獣たちは戦い合う本能を持っています。
モンスタバース1作目の「ゴジラ」でもゴジラはムートーに引きつけられ、戦いを挑みます。
前作のギドラに対しても同じです。
ゴジラの行動は場合によっては人類を助けているようにも見えますが、地球の守護者である怪獣王に君臨するために行動しているのです。
本作の冒頭でゴジラはいきなりある企業の施設を攻撃しますが、それには理由がありました。
彼らはギドラの残骸を使い、ゴジラに対抗するメカゴジラを開発しようとしていたのです。
事前情報をあまり見ていなかったので、メカゴジラが出てくるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしました。
しかし、よく考えてみるとメカゴジラの登場は必然でもあるかと思いました。
宇宙怪獣であるギドラを倒した後、地球における怪獣王はゴジラでした。
しかし、その地位に挑戦を挑むものが現れました。
それは人類です。
その象徴がメカゴジラなのでしょう。
新たなモンスターを生み出す存在をゴジラは敵とみなしたわけです。
しかし、人類はそのような悪の側面だけしか持っていないわけではありません。
他者や他の生物、そして地球を思いやることができる存在、それも人類。
人類の善の側面を象徴するのが、キングコングなのですね。
人類は彼とコミュニケートし、気持ちを通じ合わせていた。
ゴジラとコングの戦いは、人類の悪の側面を正そうとする者と、善なる側面を守ろうとする者の戦いとも言えるわけです。
ゴジラもキングコングも映画界の大スターでありますから、どちらかの勝利で終わるという結末は描きにくいと思います。
なので、どのように勝負を決着つけるのだろうか、と思っていました。
そのために投入されたのが、共通の敵であるメカゴジラだったわけです。
上記で書いたようにメカゴジラは人類の悪の側面の象徴。
地球の守護者であるゴジラ、人類の守護者であるコングの共通の敵として相応しい。
残念なのはメカゴジラのデザイン。
腰高で細っこくてあんまり強そうじゃないんですよね。
やっぱり東宝のメカゴジラの印象が強いので、ちょっとデザイン的には役不足感がありました。
上記で色々書きましたが、本作は人間のドラマ部分は潔いくらいに深さがありません。
大怪獣同士のバトルを見てくれ!ということでしょうか。
バトルそのものはかなり迫力があり堪能できました。
これ、次回作はあるんですかねえ。
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