「ブラック・ウィドウ」 MCUの方向性を示す
コロナによる影響もあり、MCUの劇場作品として2年のブランクを経ての公開となりました。
いつもの通りに○宝シネマズで予約をしようとしたら、作品リストにない。
もしや公開日を間違えたか、と思って調べ直したらすでに後悔している・・・。
よくよく調べるとディズニープラスでも同時にオンラインで公開するというディズニーの方針に対し、大手の劇場が反発しているとのことらしい。
ディズニープラスは会員なので(プレミアム料金を払えば)自宅でも見れるのですが、やはり映画は劇場で見たい派なので、少し遠方の劇場で見てきました。
大手の反発する理由もわかりますが、この辺はうまくやらないとより多くの人が劇場離れしてしまうと思うので、もう少し歩み寄って欲しいものです。
最近のMCUは単なるヒーロー映画という枠を超え、現代社会が抱える課題を描く側面があると思います。
「ブラックパンサー」では黒人のヒーローを、「キャプテン・マーベル」では女性ヒーローを主役にするなど多様性を意識しています。
ディズニープラスで配信された「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は現代アメリカの分断の問題、とりわけ根強く残る黒人への差別問題へアプローチしていました。
今後続く「シャン・チー」ではアジア人、「ミズ・マーベル」ではムスリムの少女を主人公に据えます。
本作「ブラック・ウィドゥ」も現代社会が抱える問題の一つである、女性への差別や搾取を取り上げています。
この作品でナターシャの敵となるのは、自信がそこで育てられ、そして壊滅させたと思っていた旧ロシアのスパイ育成組織”レッドルーム”のドレイコフです。
彼はここでスパイとして育てた少女たちを意のままに操り、世界を裏から操作しようとします。
彼女たちは化学的な操作を脳に加えられ精神的に彼に支配されています。
またその支配から脱せたとしても”フェロモン・ロック”なるもので彼女たちからドレイコフは直接的に攻撃されないようになっているのです。
これは彼の匂いを嗅ぐと、彼女たちは攻撃する行動をロックされてしまうのです。
これにはある種の性的な暗示も感じます。
数年前よりハリウッドなどでも何人もの人が共感し話題となった「MeToo」運動があります。
権力を持つ男性がその力を背景に女性を支配し、搾取するという例がいくつもあり、それを女性の側から告発するという運動でした。
大物のプロデューサーが告発されたことを聞いたこともある方も多いかと思います。
ナターシャはかつて自分を支配した者を告発し、そして搾取されていた妹たちを解放しようとしたのです。
彼女も”フェロモン・ロック”をされていたのですが、彼女は自分の鼻を自分で潰すという荒っぽい手法でその束縛から解放されます。
つまり自分を傷つけることを厭わず、行動したのです。
「MeToo」と叫ぶことは、すなわち自分が見せたくない部分を曝け出さずを得ず、それは自分を傷つけることです。
それでも叫ぶ人々はナターシャのように傷つくことを覚悟しながら、他の人を救いたいという気持ちなのかもしれないと思いました。
本作もそうですし、「ファルコン&ウィンタ・ソルジャー」もフェイズ4に入り、現代社会の問題を描くというスタンスが明確かつ直接的になっているように感じました。
ブラック・ウィドゥの登場はこの作品で最後になると言うことです。
その後を継ぐと言われているのが、本作でナターシャの妹分として登場したエレーナです。
ナターシャは終始クールな雰囲気をまとっていましたが、エレーナは姉と同等の戦闘力を持ちながらも、その性格はもう少し明るくユーモアを感じさせるところが新鮮です。
ナターシャに向かって「着地するときのあのポーズ何?狙ってるしょ」と言いますが、お茶目さを感じますよね。
配信の「ホークアイ」にも登場すると言われていますので、今後が楽しみです。
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