« 2020年10月 | トップページ

2020年11月19日 (木)

「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」 真犯人の正体は?

終盤のどんでん返しでちょっと驚きました。
が、エンドロールの原作者に中山七里さんの名前を見つけて、納得しました。
さすが「どんでん返しの帝王」です。
中山七里さんの作品は大好きで何作も読んでいるのですが、多作な方なので全然読むのが追いつきません。
どれも仕掛けがあって読んでいて驚くことが多いです。
本作の原作については未読でした。
最近は小説を原作として映画化することも多いのですが、根本的に違うところがあります。
当たり前ですが、それは映像です。
小説で登場する人物の姿は読者が頭の中に想像するだけですので、実際に見ることはできません。
叙述ミステリーなどはそのことを上手に使ったものも多いですよね。
原作のミステリー小説がテキスト媒体であることの特性を用いた仕掛けをしているものであると、その映像化は難度が上がります。
映像ですから、見るだけでわかってしまいますからね。
本作も誰が真犯人であるか、がどんでん返しのポイントです。
実は真犯人はかなり早いタイミングで登場しているのですが、「気配」を感じさせません。
映画の場合は、真犯人には名が売れたキャストを当てることが多いですが、そのこと自体が観客に「あの人物が怪しい」と疑わせることが起こります(あえて無名のキャストを当てるということもありますが)。
これはある種の映像作品の制約とも言えるでしょう。
本作でも真犯人は有名な方が演じているのですが、初めに登場するときは全く有名俳優であることのオーラを消し去っていることに驚きました。
正直、無名の方が平凡な役を演じているだけのように見ていたわけですが、後々にその人物が真犯人だと分かったときに、「え、あの人だったの?」とびっくりしました。
特殊メイクをしているとかそういうわけではなく、メイクと衣装と演技のみであれだけ有名俳優のオーラを消せるということ自体が凄いことだと思いました。
その方の名前は公式サイトなどでも紹介されていないので、制作サイドは小説と映画のメディアの差を十分意識して作っていたことがわかります。
映画のテーマは安楽死。
これは非常に重いテーマで、すぐに答えが出るものではなく、見ていて辛いところもありました。
特に主人公とその娘に真犯人が迫ってくる(それもその犯人らしい心理的な攻め口で)ところは苦しい感じさえしました。
自分にも娘がいるからかもしれませんが。
ほんとに真犯人が怖いのですよ・・・。

| | コメント (0)

2020年11月 8日 (日)

「罪の声」大人のエゴ

時効となったグリコ・森永事件をモチーフとした原作小説の映画化作品です。
この事件の当時はすでに高校生くらいだったので覚えてはいますが、脅迫に子供の声が使われていたのは忘れていました。
結局犯人は誰だったかというところも気になりますが、確かに脅迫に使われていた子供は今、何をしているのか、謎ですよね。
本作ではグリコ・森永事件に関して今までいくつかあった事件の仮説を複合したような形で、架空の事件であるギン萬事件の犯人グループに迫っています。
その中で、脅迫に使われた子供たちの現在も描きます。
主人公の一人は脅迫に使われた声の本人である曽根俊也。
彼は偶然、古いテープを発見し、それを再生したところ自分の子ででギン萬事件の脅迫文が録音されていたことに気がつきます。
誰が自分の声を録音したのか、自分はどう事件に関わったのか、彼は独自に調査を始めます。
もう一人の主人公は阿久津英士。
彼は大日新聞の記者であり、時効になったギン萬事件の再取材を命じられます。
彼らが事件を掘り起こす中で、次第に俊也の他にも声を使われた子供たちの存在が明らかになっていきます。
また犯人グループたちの姿も。
最終的に彼らは事件の首謀者たちに迫ることができ、直接彼らから話を聞き出すことに成功します。
これについてはネタバレになるので、こちらでは書きません。
ただし触れたいのは、大人たちのエゴにより、人生を滅茶苦茶にされた子供たちの存在です。
主人公である俊也はたまたま何も知らずに幸せな人生を生きてくることができました。
けれども事件に人生を翻弄された子供たちもいたのです。
大人たちは自分たちがやってきたことはちゃんとした理由があると言います。
世の中を変えたかった、既得権益層に一矢報いたかったなど。
けれども子供たちにはそんなことは一切関係がありません。
大人が自分の責任で自分の主義主張を通すのはまだわかる(事件を起こし、被害を出すのはもってのほかですが)。
ただそれに無関係の子供たちを巻き込むのは許しがたい。
大人は失敗しても自分としてはやり切ったという気持ちはあったかもしれません。
そんなことも子供には関係がありません。
大人のエゴが子供の人生に影響を与える。
自分も子の親ですから、ちょっといろいろ考えることがありました。
こんなふうに育ってもらいたいという親としての理想もあったり、自分の都合で子供にいろいろ言ったりすることもあります。
けれど、子供には子供が生きたいように生きる権利があります。
親の無理強い、エゴの押し付けなどをするのもあまり良くないなとも感じました。
本作で描かれている大人とエゴとその結果の子供の人生というのは極端な例ではありますが、少なからずどの家にもあることかもしれないとは感じました。

| | コメント (0)

« 2020年10月 | トップページ