« 「1/2の魔法」 前へ向かって | トップページ | 「TENET テネット」考えるな、感じろ »

2020年9月21日 (月)

「ミッドウェイ(2019)」 エメリッヒ印

太平洋戦争時、日米が激突したミッドウェイ海戦を題材にした作品で、ローランド・エメリッヒが監督。
彼らしいと言えば彼らしいのですが、やはり人間ドラマが希薄。
登場人物が多く、それぞれのキャラクターに深く共感することができずに、物語が進行していきます。
キャラクターの数が多いため、それぞれのエピソードにも深みがありません。
暗号解読部隊などはそれだけで一本映画作れそうな気もしましたが、扱いはあっさりです。
出来事を追っていくということが中心になりすぎているようなきらいがありました。
これは初期作品の「インディペンデンス・デイ」にも言えることなので、監督自身はそれほど感情描写には興味がないのかなとも思ったりもします。
確かに映像は技術の進化もあり迫力はあるものの、昨今はどの作品でもかなり映像的にはレベルが上がっているので、それだけでは評価する事は難しいかと思います。
またこのような太平洋戦争の戦闘をテーマにした作品は、世界各国で公開されることを前提とすると、それぞれの国民心情を配慮したものになると思います。
本作については中国資本が入っているので、日本人の描き方が云々という意見も見られますが、個人的にはこの時代の日本人のメンタリティとしてはフェアな描き方をしているようには思えました。
その分、それぞれの国民感情を踏み込みすぎず、何も言われないようにバランスを気にしすぎているようにも思え、そのため人物描写が表面的でなかなか感情移入がしにくかったようにも思えます。
同じように太平洋戦争の戦闘を題材にしたクリント・イーストウッドの「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」はそれぞれアメリカ目線、日本目線で割り切って描いたことにより、深く感情に訴えかけるものになっていたように思います。
迫力のある映像を中心に楽しみたいという方にはお勧めではありますが、やはりドラマが見たいという方には物足りない作品であるかと思います。

|

« 「1/2の魔法」 前へ向かって | トップページ | 「TENET テネット」考えるな、感じろ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「1/2の魔法」 前へ向かって | トップページ | 「TENET テネット」考えるな、感じろ »