« 2020年3月 | トップページ | 2020年7月 »

2020年6月20日 (土)

「ドクター・ドリトル」 ぜひ親子で鑑賞を

ロバート・ダウニーJr.がMCUを卒業して、次に選んだのはドクター・ドリトルです。
原作は世界中で愛されている有名な「ドリトル先生」シリーズ。
古典を選んできたところは意外ですが、彼は「シャーロック・ホームズ」でもシャーロックをそれまでとは違った新しいイメージで演じているという実績があります。
私は原作は未読なのですが、映画のドリトル先生もかなり原作のイメージとは違うようですね。
原作のドリトル先生は英国紳士として描かれているようですが、ロバートのドリトルはそれとはかなり外れたイメージで、ユーモアのある人物として描かれています。
シャーロックもトニー・スタークもそうでしたが、このユーモア感というのはロバート・ダウニーJr.らしいところなのかもしれません。
原作は子供向けの物語のイメージがあったので、本作も子供向けの作品だと思って見に行きました。
しかし、これも意外だったのですが、大人が見ても結構楽しめます。
もちろん子供も十分楽しめると思います。
ストーリー自体は複雑ではなく、わかりやすいですし、喋る動物たちとドリトル先生のやりとりも面白い。
子供たちが自身を投影しやすい助手のスタビンズ少年というキャラクターもいます。
前半の方から見せ所のアクションもあり、割といいタイミングで飽きさせないように盛り上がりを作っています。
それほど長い作品でもないので、子供も飽きずに最後まで楽しめるのではないでしょうか。
とはいえ、大人だと楽しめないかというとそうでもないと思いました。
もちろんストーリーはとてもシンプルなので、複雑な物語を好む方は合わないかもしれません。
ただ本作のドリトルは妻を亡くしてしまったため、人との接触を断ち、ずっと一人で暮らしてきた人物です。
ユーモアを絡めて話す彼ですが、その心の奥底は悲しみで満たされています。
それがあるきっかけで冒険に旅立つことになり、その旅路で動物たちやスタビンズ少年との交流の中で次第にその悲しみが癒されていきます。
誰でも大切な人を失って悲しみに暮れることはあるかと思います。
そこから立ち直っていくときのきっかけは、やはり周囲の家族や友人たちとのだったりするのですよね。
ですので、このお話は大人でもキャラクターに共感を持てるものになっていると思います。
本作は元々春休み映画で公開される予定でした。
親子で見に行くには絶好の作品だと思います。

| | コメント (0)

2020年6月19日 (金)

「エジソンズ・ゲーム」 ジョブズの姿を見た

原題は「The Current War」で、直訳すると「電流戦争」になりますね。
ここでいう電流とは直流/交流のことです。
乾電池などは直流、家庭に電力会社から送られてきてくるのは交流というのは、学校で習ったことがありますよね。
本作ではエジソンが電球を発明し、その後急速にアメリカに電気が普及している時代における、直流式と交流式の覇権争いを描いています。
まさに電流のデファクト・スタンダードをどちらが取るかという争いです。
皆さんもよく知るトーマス・エジソンが直流派。
そして交流を主張するのが、ジョージ・ウェスティングハウスです。
意外だったのが、本作で描かれるエジソン像です。
エジソンといえば「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」という名言で有名ですよね。
私も子供の頃、偉人伝でエジソンの話を読んで、努力家で高潔なイメージがあったのですが、本作のエジソンは全く違います。
天才であることは間違いありませんが、どちらかと言えば自己中心的で、部下に厳しく、また敵となる相手には非常に攻撃的に当たります。
そして名誉欲・自己顕示欲も高いパフォーマーで、仕事を優先して家庭を顧みない人物。
正直言って一緒にお仕事したくないタイプです。
相手となるウェスティングハウスは終始紳士的で、名誉よりは社会へどれだけ貢献できるかということを考えている人物のように見えました。
電力の普及により、社会が大きく変わろうとしている時代、二つのシステムが大きく覇権を争う様が描かれるのが、この作品です。
鑑賞しながら、本作におけるエジソンをどこかで見たことがあるという既視感を持ち始めました。
よくよく考えて見ると、本作のエジソンは、アップルを創業したスティーブ・ジョブズに非常に似ているなと思いました。
彼もまた自己中心的で、周囲に対して非常に厳しい人物でありました。
そして自己顕示欲も高いパフォーマーでもあったのは、皆さんもよく知っているところです。
彼はパーソナルコンピューターやスマートフォンを発明し、その後の社会のありようを大きく変えたというところが、まさに本作のエジソンのようです。
しかし、パーソナルコンピューターにしてもスマートフォンにしても、彼が作ったMacやiPhoneがデファクト・スタンダードになったわけではありません。
主流になったのは、Windowsであり、Androidであったのです。
交流に負けてしまったエジソンと通じるところがありますよね。
そういえば、ジョブズもアイデアを盗まれたと言ってWindowsを訴えたことがありました。
本作で描かれたのは「電流戦争」ですが、スティーブ・ジョブズのMacとビル・ゲイツのWindowsの覇権争いは「OS戦争」とも言われました。
パーソナルコンピューターの登場、そしてスマートフォンが登場も、社会を変容させる圧倒的なインパクトがありました。
その衝撃度は今を生きる我々は知っているわけですが、電力が普及し始めた時の衝撃はさらに凄いものだったのでしょうね。
時代を作る人物には、それを生み出すだけのエネルギーを生み出すことができるエジソンのようなエキセントリックさが必要なのかもしれません。
そしてまたそれを広く遍く普及させるには、ウェスティングハウスのような粘り強さが必要なのかもしれません。

| | コメント (0)

« 2020年3月 | トップページ | 2020年7月 »