「屍人荘の殺人」 現実と非現実のバランス
まったくの予備知識を持たずに鑑賞しました。
基本的にはミステリーもの、特に名探偵ものが好きなので。
探偵者でよくある舞台設定としては、雪山の山荘や孤島など、外部の人が出入りできない場所、いわゆるクローズドサークルがあります。
タイトルからして「屍人荘」がクローズドサークルの舞台となるのだろうと想像はできましたが、そのような状況を作る方法が奇想天外で非常に驚きました。
後から思えば、それもタイトルに書いてあったのですけれども。
不思議なバランスで作られている作品です。
事件が起こり、それがどのように実行されたか、そして犯人が誰なのかということの謎解きでは、とてもオーソドックスに物理的に可能な可能性をロジカルに解いていきます。
この辺のアプローチは古典的な探偵小説のような趣があります。
非常に現実的で曖昧なものが入る余地があまりないように感じられます。
けれどもその推理劇が展開している場所が作られているのは非常に非現実的な理由によるものです。
ここについてはSFサスペンスや怪奇ものといった趣があります。
このような古典的で非常に現実的な要素と、現代的で非現実的な要素が一緒くたになっているというのが不思議な感覚でした。
あくまで非現実的な設定は状況を作るものであって、犯行そのものは論理的に組み立てらているのが、難しいところを逃げていないように感じました。
観ていたとき、ちょっと雰囲気が既視感あるなと思っていたのですが、「TRICK」でした。
よくよく監督名を見てみたら木村ひさしさんで、脚本は蒔田光治さんでした。
まさに「TRICK」のコンビ。
浜辺美波さん演じる剣崎比留子のキャラも奇妙でしたが、これも「TRICK」風ですよね。
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