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2019年8月23日 (金)

「ライオン・キング」 映像は新しいが、物語は・・・

実写と見まごうばかりのCGによって制作された”実写版”「ライオン・キング」。
ここまでくると実写、アニメというのは垣根がなくなってきているなという感じがしますね。
実際は実写的に表現されたアニメーションであるとは思います。
動物の表情や動きは本物よりはデフォルメされて、人間的なエモーションが演出されていますから。
表現の技術的な進化を感じさせる作品であると思います。
それに対して物語については現代的な新しさはあまり感じられませんでした。
ディズニーはこのところ昔のアニメーションの実写化した作品をリリースしています。
最近では「美女と野獣」、「アラジン」などが挙げられると思います。
これらは昔のアニメーションをただ実写化したというだけでなく、より現代の多様な価値観に配慮したものとなっています。
特に女性の描写ですね。
昔のディズニー映画といえばプリンセスですが、彼女たちはどちらかといえばか弱く、男性を待ち、選ばれる者として描かれていました。
しかし最近のディズニー作品の女性たちは自らの意思をしっかりと持ち、そして行動をします。
「アナと雪の女王」のエルサとアナなどもそうでした。
ですので、「美女と野獣」のベルにしても、「アラジン」のジャスミンにしても、アニメよりもさらに強い意志を持ち、行動力のある女性として描かれています。
「アラジン」のレビューでも書きましたが、実写版で新たに書かれた曲である「Speechless」はその象徴でしょう。
ですので、本作もそのような様々な価値観が込められた現代的な作品になっているかと思いましたが、基本的に物語はアップデートはされていないように感じたので物足りなさを感じたのです。
どうしても青年が王になっていく姿を描く物語ですので、男目線になってしまうのは致し方がないところではあるとは思うのですが。
ですので女性に関してはどうしても男性を支える立場という描かれ方になってしまいます。
その姿はやや昔の女性観のように見えました。
最近のディズニーの作品は多様な価値観を大事にしてきているように感じていたので、本作についてはその点があまり感じられなく、少々物足りなさを感じました。

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