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2019年6月29日 (土)

「スノー・ロワイヤル」 オヤジ、暴走する

明らかに配給会社は意識していたと思いますが、予告編から受ける印象は同じくリーアム・ニーソン主演の「96時間」。
あの作品は面白かった。
中年というよりは熟年と言ってもいい年頃の男が主人公ながら、キレキレのアクション映画となっていたのが、新鮮でした。
リーアム・ニーソンは「シンドラーのリスト」で名前が知れ渡るようになっていましたので、それまでアクションというイメージはあまりなかったと思います。
しかし、「96時間」以降はアクション映画に数多く出演し、このジャンルのイメージが強くなりました。
ですので、本作も予告を観た時は「96時間」的なアクション映画という印象を受けました。
確かに本作はアクション映画なのですが、観ていると途中から何か座りが悪いようなシュールな印象を受けます。
アクション映画の構造というのは実は単純で、基本的には主人公にとって許しがたい敵を、どうにかして最後はやっつけるという展開なのですね。
しかし、本作はその構造がこれがややずれています。
基本的にはこの作品は主人公は殺された息子の復讐劇となっています。
通常のアクション映画であれば、息子を殺した犯人側が主人公に対抗していくことにより物語は展開していくと思います。
しかし、本作は違う。
主人公は真犯人を追っていくのですが、その過程での殺しを、舞台となる街で対抗するマフィア同士が互いの仕業であると勘違いをし、大きな抗争へ発展してしまいます。
つまり主人公の行動が起点とはなっているのですが、どんどん展開があらぬ方向に転がっていってしまうのです。
主人公の思惑とは関係がないところで、築かれる累々とした死体の山。
不条理と言うべきか、シュール言うべきか。
アメリカの評論では「『96時間』をタランティーノが撮ったらこうなる」というものがあったようですが、言わんとしている事はわかります。
個人的にはタランティーノはそれほど得意な方ではないので、本作についても後味すっきりな感じが少なく、苦手な感じはしました。
上でも書いたアクション映画の定石からややずれるというところが座りの悪いと感じたところなのですが、それこそがこの作品の特徴であるとも言えます。
この展開を、この感覚を楽しめるかどうかで、この作品の評価が分かれると思います。

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