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2019年2月24日 (日)

「アクアマン」 単独作品主義へ?

マーベル・シネマティック・ユニバースの作品群に比べて、あまりパッとしないDCエクステンデッド・ユニバース。
特にDCのヒーローたちが一堂に会する「ジャスティス・リーグ」は、同様にヒーロー総登場となっている「アベンジャーズ」と比べると見劣りがします。
その一方で「ワンダーウーマン」はマーベルの作品と比較しても、遜色がない出来栄えだと思います。
「ワンダーウーマン」はDCエクステンデッド・ユニバースを構成する一つの作品というよりは、独立している話として成立していると思います。
本作「アクアマン」も同様だと感じました。
DCエクステンデッド・ユニバースがなかなかうまくいかないのは、登場するヒーローたちが個性的な世界観と背景を持っているということではないかと思います。
そのため一堂に会する時は、それぞれの世界観をぼかすこととなり、それが中途半端な印象を与えるのではないかと思うのです。
マーベルがうまくいっているのは、個性的に見えるヒーローたちもその根っこは我々が見ている現実と同じような世界であり、ベースとした同じ世界を背景として持っているためと考えています。
ヒーローたちのスーパーパワーの根源は科学であったり、魔法であったり、神の力というようにそれぞれがユニークだったりするわけですが、彼らが暮らす世界は我々の世界にとても近くそして、ヒーローたちによって共有されています。
しかしDCのヒーローたちの世界はそれぞれが独立しているように思えます。
バットマンが活躍するのは架空の都市ゴッサムシティーです。
そこには不可思議な格好をした犯罪者たちがいます。
バットマンの能力は科学の力と極限まで追い込んだ肉体と精神力なわけでリアリティはあるのですが、ゴッサムシティー自体はファンタジーな存在だと思います。
スーパーマンが暮らすのは現実世界と地続きのようなニューヨークですが、彼の能力はスーパー過ぎて、ある意味誰も叶わないと思えるほどです。
そのため、なかなか他のヒーローと世界を共有しにくい。
アクアマンもそれに近いかと思います。
彼らが一緒の世界にいるという設定は、どうしても物語的に無理が生じてくる。
日本の「仮面ライダー」シリーズがやっているようにアクロバット的なメタな設定でいくのであれば、強引であろうとも筋は通るわけですが、そこを曖昧にしているからキレ味が鈍くなる。
「ワンダーウーマン」「アクアマン」がほぼ独立した世界観で成功していることを考えると、DCはマーベル的なユニバース構想で勝負するのではなく、魅力的なそれぞれの世界を描くという単独作品主義にしたほうが勝負できそうな気がします。
本作「アクアマン」は冒頭の激しいカメラワークのニコール・キッドマン演じるアトランナの華麗なアクションに目を奪われ、そして「海のスターウォーズ」とも称される後半の水中での大乱戦に至るまで見所がたくさんありました。
マーベル・シネマティック・ユニバースは強いシリーズではありますが、どこかで見逃すと置いてけぼりをくらう感もあります。
もちろん単独の作品としても成立はしているのですが、初見ではわけがわからないところもあるのではないでしょうか。
そういうストレスは単独作品主義では生じないので、そこを勝負のしどころとしたほうがいいかと考えます。
おそらくマーベルもそのあたりは気にしているようにも思えます。
「キャプテン・マーベル」そして次回の「アベンジャーズ エンドゲーム」は一旦リセットをしようとしている感じがします。
マーベル、そしてDCともに今後の展開から目が離せません。

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